42年間にわたる「スター・ウォーズ」シリーズで、ただ1人全作品に出演しているのがC-3PO役の英俳優アンソニー・ダニエルズ(73)だ。9部作の完結編「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の公開に合わせて来日し、日刊スポーツのインタビューに応じた。SF嫌いだった過去やドロイド(ロボット)役へのこだわりを明かした。

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ダニエルズが演じた人型ドロイドC-3POは、シリーズの随所で笑いを誘う貴重な存在だが、最初は創始者ジョージ・ルーカスの出演依頼を断ろうと思ったという。

「演劇学校でシリアスな演技を学び、SFは好きじゃなかった。興味もなくて『2001年宇宙の旅』もまだ見ていなかった。しかもロボット役だよ。でも、ルーカスに作品の壮大な構想を聞くうちに、役柄に魅力を感じ始めて、いつの間にかとりこになっていた」

結果「ロボット役」と42年付き合うことになった。

「子どものように思ったことは何でも口にするけど憎めない。シリーズのPRで世界中を回りましたが、子どもたちはみな正直で弱虫なC-3POが大好きだったよ。SWの世界へ誘うキャラなんだね」

ルーカスが試行錯誤した第1作の世界的ヒットで、2作目からはハリウッド大作として一躍注目された。

「多くのファンは『帝国の逆襲』(第2作)が一番好きと言う。でも、私は第1作のシンプルな味わいが大好きだね。関連作もたくさんできたけど、私の役割はC-3POのキャラクターを守ることだと思う。脚本家に『彼はそんなことは言わない』とセリフを変えてもらうこともあった。たいていは年下だから言うことを聞いてくれたよ(笑い)」

ドロイドだから42年間、体形は変わらない。

「撮影の度にドレスを着る花嫁みたいに体形を整えないといけなかった。『スーツ』はかなり重いので筋肉をつける必要もあったけど、つけすぎると入らない。あんばいが難しい。第9作ではケイタリングがおいしすぎて、苦戦したね」

シリーズただ一人の完走者となった。

「第9作の美しくてシンプルなエンディングはシリーズの最後にふさわしかった。今は達成感があるけど、3年くらいたったらすごく寂しくなるんだろうね」

20日に公開された「-スカイウォーカーの夜明け」は週末3日間で興行収入15億7046万円、動員101万8851人を記録し、「アベンジャーズ エンドゲーム」や「アラジン」を上回って、今年の実写映画1位となった。

特に初日の20日は平日にもかかわらず35万人を動員。「スター・ウォーズ」シリーズ、そして配給のディズニー映画史上最高の動員数となり、シリーズへの根強い人気を印象付けた。

◆アンソニー・ダニエルズ 1946年2月21日、英国生まれ。大学の法学部から演劇学校に転じ、ラジオドラマや演劇で活動。30歳の時にSW第1作に出演。以来、シリーズ全作品、テレビアニメ、ゲームなどすべてのメディアでC-3POを演じている。