リリー・フランキー(56)斎藤工(38)が11日、都内で、16日スタートのフジテレビ系連続ドラマ「ペンション・恋は桃色」(木曜深夜1時25分)の完成記念囲み取材に応じた。

リリーはオファーを受けた時の印象を「絶対放送されないなって思いました。何にも決まっていないんですよ。工君に会ってこの話知っているか聞いたら『ぼく知らないです』っていわれて、これ絶対ないなっておもっていました」と笑いながら振り返った。

斎藤も「最初リリーさんから聞きました。『えっ』って思って。まず事務所の連絡形態を疑いました(笑い)。実現性っていうパーセンテージは高くなかったですね。でも時間があったわけではないのに、日々、台本が変化していって魅力的になっていった」と当初の“危機”からできあがっていく過程を明かした。

本作はちょっと古いペンション「恋は桃色」を舞台に織りなす“訳あり”な人々の物語。時間も予算も限られていく中で、山中湖に4泊して撮った。リリーは「映画研究会みたいでした。サークルっぽくて。集中力がすごかった。みんなの瞬発力で作った感じですね」と撮影の様子を明かした。

監督やスタッフもドラマの撮影は初めてだったという。「瞬発力とかみずみずしさを大切にしていた。CMの入り方も斬新。バサッと。これはいいと思いましたね。そういうこれまでの常識がもしかしたら非常識なのかもしれない」と新たな発見があったという。斎藤も「ミュージックビデオとか感覚を生業とする人たちが初めてドラマに足を踏み入れて、定説に一切とらわれない無敵さがあった」と新鮮さを口にした。

全員でペンションで撮影して別の近くのペンションに泊まった。斎藤は「物語はあるんですけど、オンオフがなかったので、どの瞬間を撮られてもドラマが成立したんじゃないか」。リリーも「(カメラを)回せばいいのにっていうね。ペンションのお湯が熱いとか、すごくぬるいのしかでないとか。そういう何でもない話が撮影につながっていった。どこが台本でどこがフリートークかわからないと思う」と撮影以外のペンションでの生活も物語に深みをもたせたことを語った。

斎藤は撮影前に出演したTBS系情報番組「王様のブランチ」でドローンを手に入れ、撮影地に持参したという。撮った映像が実際にドラマで使用されたという。斎藤は「TBSの資本で買ったものが、CX(フジテレビ)のドラマで使われるという局またぎです」と笑わせた。リリーも「低予算なので。演者からスタッフから持ち出しでやっている。工くんのドローンのおかげでドラマ史上画期的な終わり方になっている」と見どころを明かした。

リリーは「ペンションという面白いシステムをみつけたなって思います。おれがフジテレビの偉い人なら、今のうちにザ・ムービーを決めますけどね。ザ・ムービーになったらインド人のダンサー200人くらいでみんなで雪の山中湖で踊りたい。2回3回って続いていくと思ってみんな演じていた」と夢を語り、斎藤も「ペンションということでどんなものでも成立する。どの球も打てる構図だなっておもいましたね」と次作に期待を持たせた。