欅坂46のキャプテン菅井友香(24)が14日、都内で行われた主演舞台「飛龍伝 2020」(1月30日初日、東京・新国立劇場中劇場など)の公開稽古に出席した。

原作の小説「飛龍伝」は、来年没後10年を迎える劇作家つかこうへいさんの代表作の1つ。菅井は、学生運動まっただ中の1960年代を舞台に、全共闘40万人を束ねる委員長となり、革命や愛する者たちに翻弄(ほんろう)されながら、機動隊との最終決戦を迎えるヒロイン神林美智子を演じる。神林は初代の富田靖子はじめ、牧瀬里穂、広末涼子、桐谷美玲らが演じてきた役で、菅井は8代目となる。

約10分行われた公開稽古で菅井は、共演の劇団4ドル50セントうえきやサトシらを殴り飛ばしたり、冷たい表情で踏みつけたりする殺陣を披露。味方良介に後ろから抱きしめたれたり、男性キャストたちから押さえつけられながら感情むき出しで長せりふを述べるシーンなどを見せた。

公開稽古では激しい演技を見せたが、その後行われた会見では、冒頭から「かんばやばや役の…」とあいさつをかんでしまうなど、欅坂46で見せる「アイドル菅井友香」に戻っていた。共演のNON STYLE石田明から「かんばや、ばやって?」などとツッコまれ、笑いを誘っていた。

菅井は「偉大なるつかこうへいさんの歴史ある名作に神林美智子役で出演させていただくこと、本当にうれしく思います。稽古を重ねるにつれて新しい感情にたくさん出会っています。皆さんに何か伝えられるように、精いっぱい務めさせていただきます」と誓った。

演出の岡村俊一氏は、菅井の印象について「よく純粋な人には『真っ白なキャンバス』という表現を使いますが、この人、透明なんですよ。透き通るくらい。普通は後ろめたいこととかあるんですけど、本当にまっ透明。こんな純粋な人には初めて出会った逸材だと思っています」と絶賛。「それをまわりのすごい汚れたやつらが…」と続けると、石田は「ちょっと待ってください! うちは会社が汚れているだけです」と釈明した。

紅一点の役どころで、菅井は「中高大女子校で、やっぱり欅坂46も女の子だらけなので、新鮮で、最初はすごく緊張してしまったし、声量とか、汗とかいろんなものに動揺している部分がありました」と振り返り、「でも、毎日のお稽古の中で、稽古場が落ち着く空間になりました。今はたくさん吸収したいなっていう思いで頑張ります」と笑った。

菅井の印象について石田は「田舎から出てきた神林の印象そのままの、本当に何も知らないというか、きれいなままここによく来てくれたな、っていう感じです。だから最初は恥ずかしかったです。照れるんですよ。照れられると、こっちが照れます」と笑った。味方は「この2週間の稽古で、人がかわったような感じです。この人が主演ならこの作品、勝てるな! と思った。力強い女性です」と褒めちぎった。

同作は、石田が「潜水しているみたい」と言うほど長いせりふや、叫ぶような激しいシーンが多い。菅井は、欅坂46の楽曲にちなんで「『不協和音』や『ガラスを割れ!』がずっと続いているような作品です。その中で、喜びとか、うれしさの感情もある。それくらい精神的にも来るものがあります」と話した。