大相撲初場所(東京・両国国技館)で世代交代が本格化する兆しを見せている。白鵬(34=宮城野)と鶴竜(34=陸奥)の両横綱が途中休場したのに加えて豪栄道(33=境川)が大関からの陥落が決定。30代半ばの看板力士が総崩れとなる一方で、20代の力士たちの活躍が目立っている。このまま新旧交代が加速していくことになるのか。

 初場所12日目(23日)、カド番大関の豪栄道が新関脇朝乃山(25=高砂)に寄り切られて痛恨の負け越し(8敗目)。関脇へ転落することが決まった。取組後は「(負け越しは)力がなかったということ」と肩を落とした。昨年11月場所は左足首のケガで途中休場。相撲を取る稽古を再開したのは年明けからで、調整不足も響いた。

 師匠の境川親方(57=元小結両国)は「しっかり下半身をつくって稽古をすれば、まだまだ力はある」と現役を続行させる構え。次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)で大関復帰(10勝以上)を目指す方向だ。ただ、4月で34歳となるだけに、大関への復帰条件となる10勝は決して簡単ではない。日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)も「相当な覚悟と気力が必要」と指摘した。

 大関が関脇へ陥落するのは、昨年の名古屋場所から4場所連続。来場所の大関は貴景勝(23=千賀ノ浦)だけとなり、1982年初場所の琴風(現尾車親方)以来38年ぶりに一人大関となる。八角理事長は「現状では仕方がない。若手がチャンスだと思って頑張らないといけない」と若手力士の奮起を求めていたが、すでに土俵では世代交代の兆候が表れている。

 豪栄道が負けた相手が次の大関をうかがう朝乃山だったのは象徴的。優勝争いも1敗の幕内正代(28=時津風)を筆頭に3敗までのV圏にいる6人中5人が20代の力士だ(12日目終了時点)。十両でも琴ノ若(22=佐渡ヶ嶽)、豊昇龍(20=立浪)ら若い世代が白星を先行させている。

 新年最初の場所を節目に、このまま一気に新旧交代が進んでいくのか。今後の動向に注目が集まる。