【マーティ&URA―KiSS 昭和・平成ソングって素敵じゃん】昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ日本の歌手や楽曲を、平成生まれ世代や外国生まれのミュージシャンはどう聴くのか? マーティ・フリードマンとアイドルユーチューバー「URA―KiSS」の鷹野日南(19)が、今週はスピッツを語ります。あの名曲からマーティが読み取ったものとは? 曲を聴きながら読んでみてください。

【スピッツ論1】

 ――今回は鷹野さんが好きなスピッツについて語ります。マーティさんは男性ボーカルを積極的に聴きませんが、スピッツはどうですか

 マーティ:聴き込んではいないけれど、けっこう知ってます。

 ――鷹野さんが挙げた曲、まずは初期の大ヒット曲「ロビンソン」(1995年)です

 マーティ:これは名曲だね。もちろん知ってます。鷹野さんが生まれる前の曲でしょ? どうやって知りましたか。

 鷹野:ユーチューブでアフリカの小さな男の子が歌ってる動画を見たんですよ。すごく上手なんです。日本の曲がアフリカで歌われていることに衝撃を受けて、それでちゃんと聴きました。

 ――国境を超えて愛されてるんですね。ちょっと聴いてみましょう

 マーティ:このイントロはザ・キュアーの「フライデー・アイム・イン・ラヴ」(92年)を思い出すね。コードやアルペジオの感じが似てます。「フライデー――」よりゆったりして落ち込んでる系のセンスだね。

 ――ザ・キュアーは79年にデビューした英国のバンドです。日本での知名度は高くないですが、英米ではカルト的な人気を得てます。その「フライデー――」を聴いてみましょう

 マーティ:このイントロ、「ロビンソン」の早回しバージョンだと思って聴いてみて。

 鷹野:あー!

 マーティ:「ロビンソン」には、ざっくりとキュアーの影響がある気がします。でもキュアーよりメロディーがしっかりしていて、日本人向けです。

 ――キュアーとはマニアックな…。実はスピッツ、みんなメタル好きみたいです。メンバー出演のラジオ番組ではメタル話で盛り上がったそう。ギターの三輪テツヤさんは見た目からメタル好きです

 マーティ:それはポイントですね。日本のポップスのミュージシャンには、メタルファンが多いんですよ。アイドルの曲を作ってる人もけっこうそうで、“隠し味”としてメタルが必ずといっていいほど入ってます。僕もポップスの現場に呼ばれて、「メタル味を入れてください!」と言われるんですよ。ポップスの方が好きなのに、絶対言えないじゃん(笑い)。でも、実はこれ不思議です。向こう(米国)ではポップスをやる人はメタルが嫌いです。

 ――そうなんですね! スピッツはメタルが好きなのに、やってる音楽は全く違う優しいポップス。これはおもしろいですね

 マーティ:メタルはギターを始めるきっかけになるんですよ。激しいメタルのギターを聴いて「自分もギタリストになりたい!」と思う人はいても、「ロビンソン」を聴いてギタリストを目指そうとは思いにくいじゃん。みんな大好きな曲だけど、「明日ギター買わなきゃ」という曲ではないです。メタルがきっかけでミュージシャンになって、経験を重ねてポップな方に行く人が多いんです。ヘビメタは食えるジャンルじゃないからね(笑い)。

 ――ポップスの方が儲かるからですかね

 マーティ:それ以上に、多くの人に自分の音楽を聴いてもらえるからです。スピッツみたいに音楽の範囲を広くするのは偉いですよ。本当のミュージシャンになります。

★マーティ・フリードマン=米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。

【URA―KiSS】渋谷を中心に活動する平均年齢19歳の7人組。通称うらきす。「うらきすハウス」で共同生活を行い、毎日動画投稿中。アイドルとの二刀流が話題を呼び「2018年Yahoo!検索大賞新人賞」受賞。