上方落語を復興させた四天王の1人、5代目桂文枝(故人)の弟子で、師匠の前名を継いだ当代の桂小文枝(69)が、亡き師の命日になる12日、大阪市内の師匠宅を訪ね、夫人へあいさつし、墓参りも行った。

小文枝は69年に5代目文枝に入門。生前の5代目から「最も怒られた」弟子でもあり、その分、深い愛情も注がれていた。夫人の希望もあって、生前の師匠が最も長く名乗った「小文枝」を27年ぶりに復活させ、きん枝から「4代小文枝」と改めた。

昨年3月12日から襲名興行を行っており、本来は、この日が千秋楽の予定だった。だが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止に。師匠の命日とあって、夫人の長谷川君枝さん(90)を訪ねた。

君枝さんとは「(公演が)延期になって3、4月は仕事がないのと、90歳になるから体のこととか」について話したという。新型コロナウイルスの感染拡大に「今回はお笑い陣は笑ってられへん」と吐露した。

大阪市阿倍野区の印山寺に師匠の墓があり、小文枝は花と線香を供え、手を合わせた。

中止になった襲名披露公演は6月5日にクール・ジャパン・パーク・大阪TTホールでの振替が決まった。小文枝は「3月12日の命日にと思っていたけど、振り替えて最終分ができる。それを報告しました」。出演メンバーも場所も開始時間も変更なく、中止となった分のチケットで入場が可能だという。小文枝は「ほっとしました」と安心した様子で語る。

仕事は2月終わりから3、4月まで、所属の吉本興業のものから上方落語協会のものまで、20公演以上がキャンセルになったと明かした。「堪え忍ばな。春先まで冬眠かな」と話していた。