若尾文子(82)が26日、東京・角川シネマ新宿で開幕した「若尾文子映画祭 青春 アンコール上映」の初日舞台あいさつに登壇した。

 6月から8月まで全国10館で開催され、好評だったことを受け、この日から来年1月15日まで開催されるが、今回は「母子鶴」(52年)「花嫁のため息」(56年)など10作品が、今回のアンコール上映で初めて上映される。

 この日の舞台あいさつの前には、川島雄三監督がメガホンを取った「しとやかな獣」(62年)が上映された。若尾は「(作品は)変わっていたわね。川島監督には、色気がある作品を撮っていただいたけれど…私(の演技)は良くなかったと思うのね」と苦笑いしつつ振り返った。司会から「川島監督は『若尾文子を女にする』と言ったそうですね」と聞かれると「そうらしいですね」と答えた。

 一方、「花嫁のため息」について聞かれると「覚えていない。いつごろの映画かしら? 260本も撮ったから…もっと、見ていただきたいものも、あるんでしょうけど」と、長いキャリアのあまり、作品を忘れてしまったことを素直に打ち明けた。

 今年は、夏と冬に「若尾文子映画祭 青春」が開催された上、テレビへの出演や公演も多く、多忙な1年だった。映画出演のオファーもあったが、断ったという。年末年始の予定について聞かれると「最近の何年かは、京マチ子さん、奈良岡(朋子)さんと私とで、石井ふく子さんのお宅に招待されて、お雑煮をいただきました。来年は、どうかな? と思ったら『やります』と連絡をいただいたので、お伺いします」と答えた。日本を代表する女優と演出&脚本家が一堂に顔をそろえる年始の集いが開かれていることを知った客席からは、どよめきが起きていた。