片岡鶴太郎(65)が11日、公式ブログで、10日に肺がんで亡くなった映画監督の大林宣彦さん(享年82)を追悼した。

「大林宣彦監督」と題し、「私にとりまして大恩人の監督です。33年前『異人たちとの夏』に私を抜てきしてくださり、風間杜夫さんの父親役を演じました」と振り返った。

当時はちょうどボクシングのプロライセンス取得に取り組んでいた時期だった。スパーリングでの鼻血やかすり傷ができる可能性があることを監督に申し出ると、「そう鶴ちゃんは今ボクシングに集中しているの。分かった。じゃあ撮影以外はボクシングに集中して下さい。もしスパーリングでアザが出来たり鼻血を出したりしたら、鶴ちゃんの背中から撮るから大丈夫。鶴ちゃんね、役者は顔を撮るのじゃ無いよ。人間を撮るの。だから、背中からだって人間が漂って来る。だから大丈夫。撮影もボクシングも集中して絶対にプロライセンスを取ってね」と声をかけられた思い出をつづった。

鶴太郎は同作で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を始め、さまざまな映画賞で助演男優賞を受賞した。「全ては大林宣彦監督のおかげさまです。感謝に堪えません。本当にありがとう御座います。今はただ、ただ、ご冥福を御祈り申し上げます」と感謝の言葉を述べた。

大林作品には「異人たちとの夏」(88年)を皮切りに、「女ざかり」(94年)「SADA~戯作・阿部定の生涯」(98年)「理由」(04年)「この空の花 長岡花火物語」(12年)「花筐/HANAGATAMI」(17年)の6本に出演した。