70、80年代の映画界を席巻した角川春樹氏(78)が最後の監督作品と公言する映画「みをつくし料理帖」(10月6日公開)の主題歌を、松任谷由実(66)が書き下ろした。

映画は松本穂香(23)演じる女料理人が、故郷・大阪への思いを残しつつ、江戸で働く時代劇。主題歌「散りてなお」はそんな郷愁がにじむしっとりとした曲だ。

松任谷は「愛すべき、はちゃめちゃな角川春樹さん。常人には測り知れない長い苦悩が、人生の最終章で、こんなにも丁寧なやさしさに昇華されていることに、今は感動しています」と話す。型破りの言動や、アクション大作のイメージが強い角川氏が、最後の作品に人情ものを選んだことに心を動かされたようだ。

編曲は夫の正隆氏(68)。「僕は映画音楽が下手だ。観たときの感情が勝ってしまって、結果、暑苦しい音楽となる」と自己分析していたそうだが、角川氏のプッシュで引き受けた。「この映画が角川映画の集大成、というならこれは僕の音楽の集大成と言っておこうかな」と一転、前向きに作品作りに取り組んだ。

歌うのは歌手の手嶌葵(32)。「角川監督の描いた世界は優しい気持ちが自然に湧いてくる。そして、そんな世界観に寄り添うようにユーミンさんが作ってくださった主題歌。本当に幸せです」と言う。松任谷も「手嶌さんの質感豊かな歌唱を得て、心の奥の故郷や希望は決して消えないと、映画とともに伝えられたらうれしいです」と語っている。

松本と、共演の奈緒(25)を中心にしたポスターも完成。松本が指でかたどっているのはこの親友2人の忘れることのない思い出を示しているという。