大みそかの風物詩「NHK紅白歌合戦」も今年は“リモート紅白”になるといわれている。緊急事態宣言が解除され、徐々に各業界が正常化に動き始めているとはいえ、今まで通りの“日常”にすぐに戻るわけではない。それはテレビ局も同じだ。当面の間は番組収録等にも制限がかかる見込み。年末まで続くのかもしれない。しかし、“リモート紅白”になることで、これまで決して出てこなかった超大物は断る理由がなくなる!? ビッグネームの紅白初出場続出という思わぬ“副産物”が生まれそうだ。

 テレビ局関係者は「報道・情報番組を除くドラマやバラエティー番組の収録はほぼストップしていたが、6月に入り、徐々に再開している。だからといって、コロナ前みたいにスタジオに大勢の出演者やスタッフが詰めかけるという光景はしばらく見られないだろう。できるだけ3密を避けるような態勢をつくらざるを得ない」と言う。

 新型コロナに関してはまだ特効薬もワクチンもできておらず、いつ流行の第2波、第3波が来てもおかしくないため、少なくとも年内いっぱいは警戒を解くわけにはいかない。これによって大きく様変わりしそうなのが、今年の紅白歌合戦だ。

「紅白となると、会場のNHKホールに大勢の歌手、スタッフ、取材マスコミが詰めかける。テレビの収録現場でも“最高レベルの3密状態”と言っていい。普段は交わらない歌手同士の“コラボ”なども番組の魅力の一つになっているが、今年は許されないだろう。そこで歌手がさまざまな場所から中継で出演する“リモート紅白”が検討されている」(制作会社関係者)

 これまでの紅白でも、毎年数組はNHKホール以外の場所から中継で出演してきた。ただ、これは“特例”で大物に限られてきた。基本的に参加歌手はNHKホールに集まっていたのだ。

 それが“リモート紅白”となり、全出場歌手が中継で出演するとなると、今までの醍醐味が失われそうだが、デメリットばかりではない。逆に大きなメリットもある。

 音楽関係者は「今年は例年以上に、大物歌手の出場が急増しそう」と耳打ちする。

 近年は特にNHKのオファーを断る大物や人気歌手が増えているが…。

「断る理由は、本番の大みそかの何日も前からNHKホールに呼ばれてリハーサルから出席しなければならず、拘束時間が長いこと。また演出で、自分の歌以外の場面にも出演しなければなりません。それが嫌ならば、中継で出ればいいじゃないかと思われるでしょうが、そう簡単にはいきません。まず、NHKは基本的に『会場に来て生歌唱してほしい』というスタンス。超大物ならともかく、若手の人気歌手が中継で出ようものなら『生意気だ!』と叩かれてしまうこともありますから」(同)

 それが“リモート紅白”となれば、リハーサルも、本音では避けたい演出に付き合う必要もない。そのうえ、ほぼ全員が中継出演となるため、あらぬ批判を受けることもない。「出場を渋っている歌手の不安はパッと消えますよ」(同)というわけだ。

「毎年のように内々で打診しても首を縦に振ってもらえない『B'z』や、若手では世界でカリスマ的人気を誇る『ONE OK ROCK』など、NHKが熱望してもこれまで出演に至っていない大物たちが満を持して登場しそうですね。コロナで落ち込む人々を元気づけるという大義名分もあるので、今年はいつになく出やすい環境が整ってきている」(レコード会社関係者)

 今年の紅白は、年内いっぱいで活動休止する嵐が大きな目玉であることは確実だが、それだけではない。近年まれに見るほど豪華な大みそかになりそうだ。