天国の師匠と盟友へ――。ノアの14日放送回でGHCヘビー級王者の潮﨑豪(38)が齋藤彰俊を退け、V2に成功した。13日には2009年に死去したノア創業者、三沢光晴さん(享年46)の命日を迎え、またかつて行動をともにした青木篤志さん(享年41)の急死から1年がたち、王者は新たな責務を負った。

 魂の戦いを制した。潮﨑は何度も立ち上がってくる齋藤を迎撃。ローリングエルボー、エメラルドフロウジョンと三沢さんの必殺技でたたみかけると、最後は豪腕ラリアートで文句なしの3カウントを奪った。

 三沢さん最期の試合となった11年前の6月13日、潮﨑はパートナーとして、齋藤は対戦相手としてリングに立った。特別な相手とのGHC戦だったからこそ「6月のこの日に、あなたとこのベルトをかけて戦えたことを誇りに思います。ありがとうございました」と感謝の言葉を贈った。

「いろんな思いをぶつけ合いました。無観客だけど、ファンにも天国にも届く試合をしたいと思っていた」と天を仰いだ大黒柱も38歳。くしくも三沢さんが2000年にノアを旗揚げした時と同じ年齢になった。

「アイ・アム・ノア」を標榜し、団体をけん引する姿は時に三沢さんをほうふつとさせるが「そう比べると、まだまだですよ。偉大な人ですから。だからこそ、もっともっと頑張らないと」。尊敬する師に一歩でも近づくためにも「(悲劇を)乗り越えた先というのを見せていきたい」とさらなる精進を誓う。

 13年にノアから全日本プロレスに戦場を移した時に一緒だった青木さんは、昨年6月3日に交通事故で死去。それから1年がたった。「青木篤志というレスラーは、後輩だけどずっと尊敬してきたんですよ。我を通して貫いて、プロレスをやっている姿が印象的で」と振り返った上で「俺も自分を貫いて、王者としてノアを先に進めたい」と拳を握った。

 団体は7月19日に東京・後楽園ホール大会を開催し、観客を入れた興行にすると発表。「みんなに会えるまであと少しだ」と決意を改めた豪腕が、長期政権樹立に向けて動きだす。