男女を通じて今年最初の海外メジャー大会となるゴルフの「全米プロ選手権」(カリフォルニア州、TPCハーディングパーク)が6日に開幕する。無観客開催の中で松山英樹(28=LEXUS)やタイガー・ウッズ(44=米国)はどんなプレーを見せるのか? そしてコロナ禍のゴルフ界の行く末は…。昨年9月にシニア入りの50歳を迎えた丸山茂樹(セガサミーHD)が大胆予測した。

 ――今年の「全米プロ」の会場ではプレー経験がある(2005年の世界選手権シリーズ「アメリカン・エキスプレス選手権」で11位)

 丸山 10月だったんで今回とは季節が違うんですけど、晴れていると暑いのに、曇ってくると「全英オープン」並みに寒かったのを覚えていますね。難しいコースですよ。米国にはパブリックでもこんなコースが存在するんだって、感動しました。

 ――そのコースでのメジャー。注目点は

 丸山 まずはどんなセッティングになるかですね。ラフをどこまで伸ばしているのか? 大会後のことは考えずに気合を入れてグリーンを硬くしてくるのか? 今のタイガーだったらスコアが伸びるセッティングの方がチャンスはあると思うんですけどね。

 ――難しいセッティングだと、ウッズは厳しい

 丸山(ツアー再開後、唯一の出場で40位だった)「メモリアル・トーナメント」はグリーンがカチカチで、タイガーでも手に負えない感じでした。昔と違って、パワーでは数段上の選手が何人もいるので、ある程度止まるグリーンの方がその差を埋められるんじゃないかと思います。

 ――再開後まだ2試合目の出場だ

 丸山 彼の立場だったら、守りに入るというか、リスクを冒してまで試合に出ることはないでしょう。万が一、感染したら大騒ぎになるのも分かっていますから。一方で(ジャック・)ニクラウスのメジャー18勝に追いつくのは最大のモチベーション(ウッズは現在15勝)。年齢的に一つひとつのメジャーが大事になるんで、しっかり追い込んで仕上げてくるはずです。

 ――最近の松山はどう見ている

 丸山 パッティングのスタッツが200位前後というのはさすがにまずい。らしくないというか、本人もそこにストレスを感じちゃってるのかなと思いますね。パットを外してイライラしながら次のティーグラウンドに行くと、ショットも徐々に曲がってきますから。

 ――ショットの状態は

 丸山 いい時に比べると、ティーショットがコントロールできていない感じはありますね。スイングが悪いようには見えないんで、気持ちの問題だと思うんですけど、何か一つ、思い悩んでいる部分があるのかもしれません。

 ――課題はどちらにある

 丸山 どちらか一方ではなく、バランスの取れた調整ができるかですね。彼の場合、ショットに関してはちょっとしたひらめきで、あっという間に上がってくるんで、そこに時間を費やせるぐらいのパッティングの状態でメジャーを迎えられるかが、大事になると思います。

 ――米ツアーは男女とも再開したが、日本の、特に男子は再開のメドが立たない

 丸山 外国人選手が非常に多いということで、当初から懸念していたことが現実になってしまったなという感じですね。米ツアーとの組織力の差は認めざるを得ません。試合に出られない選手にはこれだけの補償をしますよ、なんてことができればいいんでしょうけど…。米ツアーのまねをすることはできないんで、時を待つしかないのかな。

 ――当面は試合ができても無観客。選手への影響はあるか

 丸山 気持ちの盛り上がりは全く違いますよ。「入れ~」って言ってもらえたのが、シーンとしてる中で「カラン」って音だけになるんですから。それでスコアが変わるかと言ったら、変わらないと思いますけどね。

 ――プロだけでなく、アマチュア、ジュニアも試合がなく、丸山ジュニアファンデーションの夏の大会も中止にした

 丸山 子供たちはやりたいだろうし、親御さんから「やってほしい」という声はたくさん頂いているんですけど、最悪のケースを想像してしまうと…。我々も準備をしてきたし、本当はやりたいし、やってあげたいんですけどね。その点(今月末にジュニア大会を開催する石川)遼は勇気があるし、立派ですよ。

 ――試合がなければ、ジュニアも目標がない

 丸山 それでも、準備だけは怠ってはいけないのがこの世界。ジュニアのころの自分だったら「こんなことに負けてられるか」って、必死に練習していたでしょうね。この状況で「当たって砕けろ」は適切な言葉ではないですけど、それが若さだし、みんながそれぞれの環境で頑張っていると思います。

 ☆まるやま・しげき 1969年9月12日生まれ。千葉県出身。日本大学を経て92年プロ入り。国内ツアー通算10勝。2000年から本格参戦した米ツアーでは通算3勝を挙げた。02年には伊沢利光とのコンビで「EMCゴルフW杯」で優勝。昨年50歳を迎え、シニアデビューを果たした。リオ五輪に続き、来年に延期となった東京五輪でもゴルフ日本代表のヘッドコーチを務める。