上方落語を復興させた四天王の1人で、15年に89歳で亡くなった桂米朝さんの功績をしのぶ「米朝まつり」が30日、大阪・サンケイホールブリーゼで開催された。

亡くなって5年の「五年祭」締めくくりとなるこの日は、午前から夜まで4公演で生配信にも臨んだ。

米朝さんの長男で、米朝事務所の代表取締役社長、桂米団治(61)は落語では第3部に出演。枕で「長男と思ったことない。常にお兄ちゃんが住み込みでいられた」と幼い頃のエピソードを語った。「親が一代を築いて、そのあとを子が受け継ぐのはどの世界でも大変ですな」と言い、演目「親子茶屋」を披露した。

在阪民放各局で放送された米朝さんの秘蔵映像も上演された。第3部では、米朝さんが司会を務めていたカンテレ「ハイ!土曜日です」を放送。米団治は「舞台袖でも食い入るように見ていました。いろんな人に支えられての米朝(だった)と、うかがえると思います」と笑顔だった。

筆頭弟子の桂ざこば(72)は「笠碁」を披露。枕では将棋について「藤井くんが昼ご飯を何食べるかを楽しみにしてた」と話した。

各回のゲストは立川談春、柳亭市馬、三遊亭円楽、笑福亭鶴瓶。第3部に出演した円楽は、米朝さんの創作落語「一文笛」を披露。かつて、米朝さんに「『一文笛』をやらさせていただいてます」とあいさつしたところ、「ええ話やな。わしもいっぺんやってみたかった」と返されたエピソードを明かし、会場を盛り上げた。

同まつりは、当初は3月20~22日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となっていた。その後、開催が実現。8月19~21日に大阪・朝日生命ホールで「米朝が愛した落語と色物」が上演され、この日、サンケイホールブリーゼで最終日を迎えた。