48歳の足立紳監督が3日、都内で行われた映画「喜劇 愛妻物語」(11日公開)公開直前イベントで、音楽ユニット「Foorin」のメンバーとしても知られる、10歳の新津ちせに、コメント力で圧倒され“KO”された。

同作は、人気脚本家として知られる足立監督が、自ら著した自伝的小説を脚本、監督して実写映画化した作品。19年の東京国際映画祭でコンペティション部門に出品されたが、それでも足立監督は自信なさげで「(映画館の)第1列しか客が入らない夢を見た。(記者に向かって)書いてください」と集まった記者に懇願した。それを聞いた新津が「面白い映画なので全席が埋まることを願います」と自信満々に言うと、記者席から笑いが起きた。

「喜劇 愛妻物語」は、浜田岳(32)演じる、うだつの上がらない脚本家の豪太が、水川あさみ(37)演じる妻チカと新津演じるアキとともに、四国を舞台にしたシナリオを書くため5日間の取材旅行に出る物語。劇中では、豪太がチカに罵声を浴びせられる場面が多い。

足立監督は、妻の晃子さんとの実生活をモデルに描いた作品について「世の中に、こんなひどい女がいるのを知らしめてやろうと思って作った。罵声が良い経験になった。20年間、浴びせかけてくれてありがとう」と語った。また、自宅で行った撮影をふりかえり「(妻が)『監督ぶってますけど、普段、あの人最悪ですからね』と吹聴し、気が散った。お前、この作品、メチャクチャにするのかと」と笑いながら振り返った。ただ、公開直前の今は「(ヒットするか)本気で不安なんで。奥さんとは毎日、近所の神社に大ヒットしますように、とお参りしてます」と妻との仲むつまじい近況も明かした。

新津は、最後のあいさつでも「夫婦だからとか、形じゃなく、信頼が積み重なって夫婦、家族と言うと思う。この映画を見たら家族の概念が変わると思う」と、10歳とは思えない達観した夫婦間を語った。

それを聞いた水川は「ちせが素晴らしいことを言ってくれた。夫婦は、他人と他人が寄り添っていく、変てこなものだけど、面白く、すてきなんだということが伝われば良いと思う。面白がって笑ってもらいたい」と語った。浜田も「ちせちゃんの言うとおり。自分の順番が来るのが…心臓が痛くてしょうがない」と、新津のコメント力に脱帽。その上で「ご近所の2、3軒先の家庭をのぞく背徳感あり、不幸を笑ってバカにして頂ければ。毎年、あの夫婦が戻ってきたのかといようにしたい」と続編の製作を望んだ。