落語の金時あらため5代目三遊亭金馬(57)、父で4代目金馬あらため三遊亭金翁(91)の襲名会見が先日行われた。

新金翁は、小金馬時代の50年代から60年代にかけ、NHKのコント番組「お笑い三人組」で大人気になった。映画やドラマにも出演するなど、今で言うマルチに活躍した人だ。

会見では「芸能に関わることをいろいろやりましたけど、楽しいな、死ぬまでやりたいなと思ったのは落語です」と話し、息子の新金馬に「落語を大事にしなさい」と声を掛けた。

生涯を通じてやりたいこと、やり遂げたいことがあると言う言葉の重みを感じる。18年に心不全と脳梗塞を併発し、5日間意識がなく命の危険があった。以前にも何度か心筋梗塞を発症し、62歳の時には胆のう炎と敗血症を併発し、昏睡(こんすい)状態になったこともあった。「死ぬまで落語を」の言葉には、何度も病から高座に復帰してきた実感がこもっている。

金馬襲名披露興行は9月下席の鈴本演芸場から始まる。金翁の出演は各寄席、初日と中日。以前のように体の自由はきかなくなったが「50日間頑張んなきゃ」と言っているそうだ。【小林千穂】