首位独走中の巨人が9日の中日戦(ナゴヤドーム)を本塁打攻勢の〝空中戦〟で5―4で制し、怒とうの4連勝。貯金は今季早くも最多更新の20となり、原辰徳監督(62)はV9時代の名将・川上哲治氏と並ぶ球団最多の監督通算1066勝を達成した。

 終盤まで1点を争うシーソーゲーム。この節目の試合に「覚醒」したのが、指揮官が絶大なる信頼を置く主将・坂本だった。まずは3回一死二塁で岡野の投じた9球目の直球を捉え、打球は広いナゴヤドームの右中間スタンド最深部へ。今季は7月に自己ワーストの26打席無安打を喫するなど、まだ納得のいく打撃をつかめずにいる男が「久しぶりに感触のいいホームランが打てましたね!」と語る一発は、15試合連続安打となる12号2ラン。幸先いい先制点をもぎ取った。

 なおも主将のバットは止まらない。1点リードの6回、先頭で打席に立つと真ん中低めのフォークをややバットの先ながらも体の芯の強さを生かし、しっかり振り切った。今度は左中間スタンドに叩き込む技ありの2打席連続13号ソロだ。

 先発・田口は5回まで1失点と安定していたが、2点リードの6回にビシエドの適時打などで追いつかれ、この回途中3失点で降板。そんな重い空気を打撃好調の女房役・大城が7回に勝ち越しの7号ソロを放ち、そして3度目、「真打ち」坂本の登場だ。二死走者なしでの打席で左中間スタンドにプロ14年目で初となる3打席連続の14号ソロ。「1試合3発は初めてですね! しっかり一振りで仕留めることができた」と興奮を隠しきれない様子だった。

 終わってみれば〝祝砲〟4発で決めた1066勝。だが、チームの最大の目標は連覇、そして悲願の日本一奪回だ。背番号83は慢心することなくタクトを振り続ける。