深田晃司監督(40)が9日、都内のヒューマントラストシネマ渋谷で行われた映画「本気のしるし」(深田晃司監督)初日舞台あいさつで、19年にメ~テレで放送された連ドラを、未公開シーンを入れて再編集した劇場版を製作した理由を語った。

「本気のしるし」は、国際的に評価の高い深田晃司監督が初めて漫画の映像化に挑戦した作品だが、放送は愛知、岐阜、三重県と神奈川県にとどまった。深田監督は「東海3県と、一部の地域しか放送されなかった。やっぱり、見たいけど見られないという人が、とても多かった。今回、映画という形で全国のいろいろな映画館で回していきたい」と語った。

その上で「コロナでお客さんが減っていたりとか、すごく大変な状況になっている。ぜひ、多くの人に来て欲しい」と映画館に足を運ぶことを呼びかけた。深田監督は、新型コロナウイルスの感染拡大で客足が落ち、存続の危機に立たされた全国のミニシアターの支援を目的に、4月13日から5月15日までに3億3102万5487円の支援金を集めたクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」の発起人を務めた。それだけに、今度は自らの新作で映画館を救いたいという思いが、口からあふれ出した。

「本気のしるし」は、漫画家星里もちる氏が00年から02年まで「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載した同名漫画の実写化作品だ。オリジナル脚本の映画作りにこだわってきた深田監督が、原作にほれ込んで初めて漫画の映像化に挑戦。連ドラに未公開シーンを入れて再編集し、劇場版を作り上げた。同監督は「20年前に初めて漫画を読んで、映像化したいと願って、本当に願いはかなうものなんだなと実感しています。先生(星里氏)あっての作品」と感慨深げに語った。

そして、舞台あいさつの最後に「テレビをひねれば、予告編が流れているような作品ではないので、本当に口コミが大事。面白いなぁとか、琴線に触れる部分があったら、SNSで拡散していただけるとうれしい」と観客に呼びかけた。