昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ日本の歌手や楽曲を、平成生まれ世代のアイドルと外国生まれのミュージシャンが語る連載。マーティ・フリードマンとメディアミックスプロジェクト「けものフレンズ」から飛び出した「×(ばってん)ジャパリ団」の船戸ゆり絵が、現役ながらレジェンド的存在の中島みゆきについて語ります。わざわざアナログレコードで曲を聴いている船戸と、「中島さんは天才!」と言い切るマーティは何を語る? 曲を聴きながら読んでみてください。

【中島みゆき論1】

 ――船戸さんは中島みゆきファンなんですね

 船戸「糸」「時代」「地上の星」…王道の曲を中心に聴いてる感じですが、大好きです。

 マーティ 中島みゆきさんは天才です! すごく好きですよ! 同じアーティストを好きなんて感動的だね。

 ――1970年代の「時代」、80年代の「ファイト」、90年代の「糸」ほか、古い曲がいまだにCMや映画に使われるなど、中島さんの楽曲は長く愛され続けています。聴き始めたきっかけは

 船戸 大ファンのお母さんの影響です。いま50代で、ストライク世代みたいです。お母さんはCDを持ってるのに、わざわざLPレコードを買って聴いてました。小さい私は横で聴きながら育ったんです。

 マーティ 素晴らしいじゃん! 今もレコードを聴いてますか?

 船戸 きれいに置いてあるので、思い出すと中島さんだけはレコードで聴いてます。レコードっていいですよね。趣があるし。

 マーティ 偉いですよ! LPの方がよっぽど楽しいじゃん。ジャケットが大きくて写真がきれいだし、配信と違って手に持って歌詞も読めるし。

 ――少し前から20代を中心にレコードがブームになっているそうで、若い人にアナログの良さが見直されているんですね

 船戸 あえてレコードで聴くのっていいな、と思いました。

 ――マーティさんが中島みゆきを聴き始めたきっかけは

 マーティ 番組か何かで「この曲弾いてください」って言われて聴いたのが最初です。弾いたらとてもすてきで、他の曲も聴いたら大ファンになりました。「糸」は何回も演奏してます。僕は感動的な曲が好きなんですよ。中島さんとすごく共演したいんだけど、バンドはずっと同じ人たちとやっていて入れなそうなので、何かで共演したり共作とかできたら光栄なんですけど…。

 ――まさかの公開直訴! 代表曲のひとつ「悪女」(81年)を聴いてみましょう

 マーティ 独特な歌い方ですね。それに歌詞がとても聞き取りやすいです。

 船戸 低音でどっしりというか、中島さんって耳に残る声で、聴いてると落ち着きます。ちょっと落ち込んだり、気分が優れない時に中島さんの曲を聴くと、気持ちが「フワッ」となります。

 ――この独特な声はどう思いますか

 マーティ いわゆるきれいな声とは言えない、独特でクセのある声です。この声が好きじゃない人もいるかもしれないですけど、曲があまりに良くて、声が苦手な人も我慢して聴けると思います。むしろこの声でありがちな曲だったら、全然好きじゃない。珍しい声とすてきな曲の奇跡みたいな組み合わせだから、さらに感動的なんですよ。中島さんの曲を普通の上手系の人が歌ったら、曲の良さがちょっと落ちると思います。そう思いませんか?

 船戸 わかります。単純にきれいな声という感じではなく、パワーがあって、空間的にも響くし、心にも響く声だと思います。

 マーティ この声だから曲の良さをきれいに引き出せるんです。聴いた瞬間に中島さんってすぐわかるじゃない。それが素晴らしいんですよ。

 ☆ばってんじゃぱりだん けものフレンズのブラックバック役・未来みき、タスマニアデビル役・小泉萌香、オーストラリアデビル役・船戸ゆり絵の3人によるユニット。キュートな見た目からは想像できない、ハードロックな楽曲で客席を盛り上げる。デビューアルバム「×・×・×」が発売中。収録曲「どきどき黙示録」はマーティが作曲。自らギターを弾いている。

 ☆マーティ・フリードマン 米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。「紅蓮花」「宿命」などをカバーしたギターインストゥルメンタルアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が21日に発売。