岡本健一、浦井健治、中嶋朋子らが出演する舞台「リチャード二世」(東京・新国立劇場)を見てきました。09年「ヘンリー六世」三部作に始まり、「リチャード三世」「ヘンリー四世」二部作、「ヘンリー五世」と続いた、シェークスピア歴史劇シリーズの最終上演でした。

英国の王位をめぐり、貴族が離合集散を重ね、苛烈な戦争を繰り返す。「ヘンリー六世」三部作は上演時間が10時間近い大作でしたが、飽きることはありませんでした。12年に及ぶシリーズ上演で、同一の役柄は同じ俳優が通して演じ、演出の鵜山仁氏をはじめスタッフもほぼ同じメンバーでした。しかし、ヘンリー四世を演じた中嶋しゅうさんや金内喜久夫さん、舞台美術家の島次郎さんなど、亡くなった方もいました。

一方で、新しく参加したメンバーもいて、若い貴族ヘンリー・パーシーを演じた若手も、新加入組の1人でした。声もよく通って、血気にはやる若者らしさもあり、どこかの劇団の若手かなと思って、パンフレットで確認しました。原嘉孝で、ジャニーズJr.のユニット宇宙sixのメンバーであることを知りました。出演者は手だれの俳優が揃っていましたが、原は決して負けていませんでした。

観劇から2日後、宇宙sixメンバーの1人が賭博行為などを理由に契約解除となり、原ら3人だけとなった宇宙sixも連帯責任で解散しました。3人は今後、ソロで活動するそうですが、今回の舞台を見る限り、原は俳優としてやっていけるでしょう。まだ25歳の若さ、今後も注目したいと思います。【林尚之】