【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】イチョウの実(種子)がギンナン。

 漢方では、「咳止め」の薬「定喘湯(ていぜんとう)」の成分になっており、昔から「咳止め」の効果がある、とされていた。

 煮て食べると肺を温め、咳や痰に効くことがわかっていたので、戦前・戦後「国民病」といわれた「結核」によく用いられていた。その他、焼いたりスープにして食べるのもよい。

 膀胱の括約筋を強くする成分も含まれている。その結果、長時間、尿をがまんできるようになり、子供の夜尿症や老人の(夜間)頻尿にも奏効する。一方、青酸が含まれているので、食べすぎると消化不良を起こし、稀に死ぬ(「本草綱目」によると1000個で死ぬ、と)こともあるので、1日5粒ぐらいまでにしておくこと。

 クルミはペルシャ(イラン)原産。

 イギリスではクルミの形が人の頭に似ていることから「頭の病気に効く」とされ、中国では同じく「クルミを食べると頭がよくなる」と言い伝えられてきた。

 クルミの脂質含有量は種実類の中で群を抜いており、その大半がリノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸である上、強力な抗酸化作用のあるビタミンE、糖質や脂質の代謝をよくするビタミンB群も豊富に含まれているので、動脈硬化や高血圧の予防・改善、老化防止や疲労回復に奏効する。

「クルミを食べると頭がよくなる」という言い伝え通り、大脳の働きをよくし、記憶力増強、不眠症、神経衰弱にも有効とされている。

「開宝本草」に「クルミは元気をつけ、肌を潤し、髪を黒くする」とある。1日2~3個食べられるとよい。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「『空腹』の時間が病気を治す」(青萠堂)。