役所広司(64)が31日、東京国際フォーラムで行われた第33回東京国際映画祭オープニングセレモニーに、フェスティバル・アンバサダーとして登壇した。新型コロナウイルスの感染拡大の中、開催する映画祭への思いを聞かれ「今回の開催は(コロナ禍で例年とは開催の形態が)違う形ですので、実行委員の皆さんのご苦労は大変だったと思います。気の抜けない開催期間だと思いますけど、観客の皆さんと頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。

役所は、先に流れた米俳優ロバート・デ・ニーロのビデオメッセージが簡潔だったことから「デ・ニーロさんみたいに、短くやれれば良いんですけど」と笑った。その上で「リアルで、スクリーンで映画が見られるのは、映画ファンにとって最高のプレゼント。しかし、コロナ禍での映画の開催は、今後に非常に生かされるじゃないですかね。この先が読めない…何とかコロナウイルスと共存しなければいけないならば、みんなで知恵を絞って映画祭を続けられるように頑張っていきたい」と、今回の開催が今後の国際映画祭のモデルケースとなることに期待を寄せた。

自身と映画との関わりについては「子供の頃から映画館で映画を体験し、無意識にたくさんのことを教えてもらった気がしますね。劇映画は映画、音楽、文学、美術…いろいろな要素があり、見事に融合すると、暗闇の中で感動を味わえる。その感動の記憶が僕自身の生きる力になっている」と劇映画の素晴らしさを強調。その上で、ドキュメンタリー映画についても「事実の記録から強烈なメッセージがあって、時代を変えるものすごい力がある映画だと思っています」と語った。

司会の中井美穂アナウンサーから、フェスティバル・アンバサダーへの意気込みを聞かれると「正直、何が出来るのか、何がお役に立てるのかが分からないですけど、とにかく日本映画は素晴らしい先輩達がいて、世界中の映画ファンを熱狂させ、魅了してきた。先輩達に恥じないような映画祭に成熟することを、心から願っております」と語った。同アナから「何か最後に」と突っ込まれると、役所は「もういいです。今日、もう何をしゃべれば良いか、ドキドキしていました」と笑った。