この番記者コラムを書くのも今回が最後です。10月いっぱいで芸能担当を離れることになりました。

5年前の11月1日、46歳で芸能記者を拝命。だがその約2週間後に急病で倒れ、いきなり約半年間の戦線離脱となった。リハビリとして当コラムで「リハビリ体験記」を書いたのが芸能記者としてスタートだったが、今考えるとなかなかのむちゃぶりです。

芸能記者としての優劣は自分では判断できないが、自分が書いた記事を読んだ、あるタレントから直接電話をもらったのは良い思い出だ。

そのタレントは元光GENJIの大沢樹生(51)。大沢のプロレスデビューを取材した際の記事に加え、大沢の思いをこの番記者コラムで書いた。それを読んだ大沢はわざわざ自分を特定し、直接電話をしてくれたのだ。

午後11時すぎだったと思うが、見たことがない番号からの着信。正直言えば、出るかどうかを一瞬ちゅうちょした。実際に出ると、声の主が全く想像がつかない。それもそのはず。大沢であることは想定外以外の何ものでもないのだから。自分が書いた記事がうれしくなり、直接お礼を言いたかったという内容だった。

51歳の記者にとって、光GENJIメンバーでもあった大沢からの連絡は、正直キツネにつままれた気分だった。と同時に、その人がらに感動を覚えた。1度取材で会っただけの一記者を特定し、直接礼を伝えるなんて、なかなか出来る行動ではないはずだ。それが出来る大沢を人として尊敬し、大きな感動を覚えたのだ。

芸能記者として、いろんな経験をさせてもらった。もちろん、まだまだで、心残りもある。だが、新しい挑戦ができることに感謝しつつ、次の1歩を踏み出していきたい。【川田和博】