岩手県出身の演歌歌手福田こうへい(44)が4日、東京・亀有の岩手県民食堂デンサク屋で、岩手・大船渡港に水揚げされた新サンマを焼いて、故郷の復興をアピールした。

今年はサンマの不漁が続いたが、福田は丸々としたサンマを手に「ようやくおいしいサンマが安く出てきましたよ」と笑顔を見せながら炭火で器用に焼き上げた。

6月に発売した「筑波の寛太郎/あれが沓掛時次郎」が6万500枚のセールスと好調な福田は「地元の秋祭りとかでも手伝って焼いてましたからね。自分で食べるのも好きだけど、おいしく食べてもらうのがいいですね。去年のサンマは細かったけど、今年は太いサンマがやってきた」と話した。

11年3月11日の東日本大震災では、地元の盛岡から三陸地区へと民謡仲間と駆けつけてボランティア活動に従事した。12年10月に「南部蝉しぐれ」でデビューをした後も、毎年のように地元で復興支援のイベントを開いている。「今年はコロナもあってできないけど、ちょっとでも応援できれば。丸々と太ったサンマをぜひ、食べてください。大変な中で新曲を応援してくれた方もいる。ちょっとでも、そのお返しができれば。サンマのように長く味わっていただける歌手でありたいですね」と話した。

新型コロナウイルスで全てのコンサートが中止になった。9月24日には、名古屋で211日ぶりのコンサートを開いて、自身の音楽活動も復興させた。「緞帳(どんちょう)が上がった時は、涙が込み上げました。絶対、泣いちゃいけないと思いながら歌いました。休んでいる間は、ずっと地元の岩手にいたので、デビューしてから会えなかったり、会いにくくなっていた人と、友達感覚で会うことができました。そして『ステージに立ってもらわないと困る』と言ってもらえた。1曲の大切さを肝に銘じて、ステージで力を抜かないでやって来てよかった」と振り返った。

岩手に帰っている7カ月の間も「『明日、コンサートです』と言われてもいいように、声を作っていました。来年は10年目になります。民謡歌手から始めて積み重ねてきたものを出すことができるようになりました」と振り返った。

現在のツアーのタイトルは「福田こうへいソーシャルディスタンスコンサート」。「復活したと言っても、まだ半分の客入れ。来られない人のためにも“倍返し”の感謝の気持ちを込めて歌っていきます」。11日にはアルバム「母~日本の母を唄う~」がリリースされる。