女優・黒木瞳(60)がメガホンをとった映画「十二単衣を着た悪魔」の公開記念舞台あいさつが7日、都内で行われた。

 監督の黒木をはじめ、女優の三吉彩花(24)、村井良大(32)、笹野高史(72)らが登壇するなか、本来そこにいるはずの主演俳優は欠席した。先月、道路交通法違反(ひき逃げ)などの疑いで警視庁に逮捕、釈放された俳優・伊藤健太郎(23)だ。

 同作は伊藤演じる主人公の青年が、就職試験を連敗し、優秀な弟に対する劣等感が拭えない中、ひょんなことから平安時代にタイムスリップするというもの。

 舞台挨拶冒頭、映画の配給会社から伊藤の登壇中止に関する説明とともに、事故で負傷した男女に対し「つつしんでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご回復をお祈り申し上げます」とのコメントが読み上げられた。

 黒木は真っ白なドレス姿で登壇し「昨日初日を迎えることができました。出演者、スタッフに支えられ完成しました。映画をご覧になってくださりありがとうございました」と一礼。伊藤に関して言及することはなかった。

 実は黒木の〝完全スルー〟は映画スタッフと協議して決まったことだという。関係者が明かす。

「あくまで映画の話をしようということになった。伊藤さんについて触れると、本意ではない方に話がいってしまうので。黒木さんは彼のことを息子のようにかわいがっていたので、ショックも大きい。事件について語りたい気持ちは持っていたが、話し合いを重ねて納得してもらった」

 黒木は事件後、気落ちする伊藤に「あなたダメでしょ!」と説教。それでも最後は「これからのことがあるんだから、頑張っていこうね」とやさしく声を掛けたという。

 伊藤をめぐっては、来月5日から始まる主演舞台「両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)」の降板がこの日、発表された。伊藤を取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ないが、黒木の気遣いに応えることができるか。