派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして強制性交罪に問われ、1審で懲役5年の判決を受けた元俳優新井浩文(本名・朴慶培)被告(41)の控訴審の判決公判(細田啓介裁判長)が17日、東京高裁で開かれ、1審判決から1年、減刑した懲役4年の実刑判決を言い渡した。

細田裁判長は減刑の理由として、新井被告が被害者に300万円の慰謝料を支払い、和解が成立しているとした上で「賠償の措置を講じた。(5年は)刑期において、やや重い。1年減じることが相当」と説明した。

裁判では、性交時の暴行があったかどうか、性交の合意の誤信があったかどうかが争点だった。暴行については、被害者が新井被告に右手をつかまれ、引っ張られて陰茎を触らせられたり、胸をなめられたりしたと証言したことについて、客観証拠と矛盾する点、不当性は見つからないとした。その上で、暴行の強度がないとの同被告側の主張に対し「強制性交から外れる程度のものではない」と断じた。

また合意の誤信があったか否かについても、派遣型マッサージ店が性的サービスをしないと公にしており、新井被告もそのことを踏まえて同意書を提出していたと指摘。さらに被害者が一貫して性交を拒絶しており、同被告がその心情を察知していないとは考えにくいとし、新井被告側の主張を退けた。

新井被告は18年7月1日、東京都世田谷区の自宅で、マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして19年2月に逮捕、起訴された。同年に東京地裁で開かれた1審では「暴力は一切、やっていません。同意があったと思っています」と起訴内容を否認した一方で、被害者の女性は行為の合意について「していません。自分から受け入れたことは1回もありません」と主張。同被告は「暴力や脅迫は一切していません」「女性が同意していたと私が誤信していた」とも主張したが、同年12月の判決公判では懲役5年が言い渡された。

今年10月12日に東京高裁で開かれた控訴審の初公判は、新井被告は出廷せず、弁護人が「事実誤認があり量刑は不当」と改めて無罪を主張した上で「民事上の和解が成立した」証明を証拠として提出していた。