虎のノーヒッターOBが復活を期す藤浪晋太郎投手(26)へ金言を授けた。阪神は現在、甲子園球場で秋季練習の真っただ中。24日の練習終了後、報道陣の取材に応対した藤浪は「守備面や体力面を強化できるようにしたい」と今秋のテーマについて説明した。

 8年目の今季は1勝6敗、防御率4・01と「数字的には物足りない1年」(藤浪)ではあったが、終盤からチーム事情もあり中継ぎ起用されると投球内容は劇的に良化。来季へ希望を持たせる形でシーズンをフィニッシュさせた。

 そんな右腕を「序盤こそフォームも崩してましたが、徐々に自信も取り戻せて後半は良化してましたね。体の軸が安定してボールも上から叩けるようになってました」と評価するのは球団OBの川尻哲郎氏(51)。七色の変化球を武器に1990年代後半の阪神を支えた名投手だ。98年5月26日の中日戦(倉敷)では矢野監督とのバッテリーでノーヒットノーランを達成。同年オフに先発出場した日米野球では、MLB選抜を相手に9回途中を無失点に抑える快投を披露した。

 12月から東京・新橋で「虎戦士居酒屋 虎尻」を開店する川尻氏は「縦に落ちるツーシーム系のボールと緩急を利かすカーブ系のボールを習得できれば、ますます打者は打ちにくくなるでしょうね」と後輩に変化球投手らしいアドバイスを送る。川尻氏といえば日本で初めてジャイロボールを駆使した投手としても有名だが「ボールの握りを変えればね、簡単なんですよ。腕を振って投げれば打者の手元でしっかり曲がりますよ。藤浪君がこれを覚えれば、いくらでも勝てるでしょうね」とも語った。

「虎尻」の看板メニューは自身の代名詞でもある魔球にちなんだ「ジャイロ土手煮」とか。「開店にあたり、今はまず検温、換気などの感染症対策を徹底しています。コロナ禍が収まれば、ぜひ藤浪君とも変化球談議がしてみたいですね」

 最速162キロの剛速球に魔球が加われば鬼に金棒。川尻氏は藤浪の活躍する姿を楽しみにしている。