自民党の「クールジャパン戦略推進特別委員会」(委員長・世耕弘成参院幹事長)は、3日に党本部で行った会議の議題に、映画、漫画ともに大ヒットした「鬼滅の刃」を取り上げた。

 党内には、映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」で涙し、4日に最終巻となる23巻が発売される漫画を予約するほどの、鬼滅ファンが多くいるという。実際、菅義偉首相は「鬼滅の刃」人気にあやかり、衆院予算委員会で「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と漫画中のセリフを引用している。

 同委員会では、海外に向けて日本のアニメや漫画をどう展開できるかが議論された。表現の自由などが専門の山田太郎参院議員によると、同映画が海外で大人気を集めた舞台裏で「海賊版との戦い」が持ち上がったという。

「鬼滅の刃の漫画を東南アジアのオタクが翻訳した〝海賊版〟が多く出回っていました。ベトナム発信の海賊版が多い。対抗策としては、いち早く原作を翻訳して、正規なものとして出すことが得策だろう、という提案がありました」

 日本のアニメや漫画は、海外で大きなコンテンツの一つとして認知されている。しかし、特にアニメはデジタル技術の進化で、各国との競争が年々激しくなっていることが議題に上がった。その解決のためには、同委員会が政府に対し、個人のクリエーターへの支援を提言することが重要となる。

「次の金の卵じゃないですけど、そこをつぶしてしまったら、アニメや漫画は成り立ちません。日本は天才が傑作を作りますから、そこを育てなければいけない。政治が支援しなくちゃいけない時代になっています」と山田氏は話している。