映画「男はつらいよ」シリーズでおなじみの東京・柴又駅が「寅さん装飾」でリニューアルすることになり、18日、同駅で記念イベントが行われた。

シリーズの山田洋次監督(89)は「この駅での初めてのロケは52年前でした。当時は自動改札ではなくて、駅員さんがハサミを入れていた。あれから100回、200回と、このホームに来たし、ここから電車に乗って家に帰ったりしたけれど、昔のままの雰囲気が残っているのがうれしい。そこに僕たちの寅さんのデザインが残る。こんなにありがたくてうれしいことはない。できたらこのたたずまいのままで、観光に来る人たちもあまり変わらないことを願っていると思う」と話した。

駅看板に寅さんのシルエットがデザインされたほか、名場面とセリフが柱に飾られた。

寅さん(渥美清)の妹さくら役の倍賞千恵子(79)は「何度この駅でお兄ちゃんに『つらくなったら、いつでも帰っておいで』と語りかけたことか。お兄ちゃんを乗せた電車を見送ったあとに、いつ『カット』が掛かるかと待っていたら、後ろを向いたときにはもうスタッフみんなが撤収しているなんてこともありましたね。先の見えない毎日。電車を待つときに、この駅に飾られたお兄ちゃんの名場面や思い出のセリフを見て少しでもほっとしていただきたいと思います」と感慨深げだった。