女子でまた一人、期待の新星が登場した。レスリングの全日本選手権(東京スポーツ新聞格技振興財団協賛)最終日(20日、東京・駒沢体育館)、53キロ級決勝で藤波朱理(17=いなべ総合学園高)が入江ななみ(25=ミキハウス)を6―0で下し、初優勝を飾った。

 シニアデビュー戦とは思えぬ強さで全日本女王に輝いた。「この大会で優勝することを目指してやってきたので、うれしいです」と笑顔を見せた。各世代大会を制し、昨年のインターハイも高校1年で優勝した逸材。年上選手たちとの対戦にも、臆するどころか「強い選手と組み合うことが好きなので、ワクワクした。今までで一番楽しかった」とエンジョイ。無失点で完勝した。

 兄は2017年世界選手権男子フリー70キロ級銅メダルの藤波勇飛(24=ジャパンビバレッジ)。多くの名選手を育てた、いなべ総合学園高監督の俊一さんを父に持つ。その俊一さんも「(タックルで)足を触るのが非常にうまい。天性のものがあります。メンタルもしっかりしている」と舌を巻く。

 大会前には日体大で指導する五輪4連覇の伊調馨(36=ALSOK)に手ほどきを受ける機会があった。「馨さんに一緒にスパーリングをさせてもらいました。タックルに入ってからの処置が課題だと強く感じました」。足首を取るタックルから面白いように得点を重ね、憧れの先輩からの指導をしっかり生かした。

「目標は五輪で金メダルを取ることです」と言い切る17歳。24年パリ五輪Vへまっしぐらだ。