第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞で監督賞を受賞した映画「スパイの妻」の黒沢清監督(65)が、受賞発表当日の28日に文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜午後1時)に生出演した。

黒沢監督は、同日付日刊スポーツ本紙掲載のインタビューの中で、コロナ禍でエンタメ界が「不要不急」の文字に悩み抜いた2020年について、興行収入(興収)324億7889万5850円を記録した「鬼滅の刃」の大ヒットなどを例に、次のように語った。

「作品の力とはいえ、一般大衆は不要不急なものをこんなに欲しているんだと露骨に分かったことは痛快。自分も皆さんに喜んでいただけるよう、若々しく撮り続けたい」

黒沢監督は、番組のコーナー「大竹の言いたい放題」の年末映画特集に出演。企画の最後に、番組2代目アシスタントの砂山圭大郎アナウンサー(45)から、日刊スポーツ本紙で語った言葉を引き合いに「実際、コロナの中での映画業界、映画という世界を、どのようにご覧になってきましたか?」と質問を受けると、次のように答えた。

「これ、難しいですよね。僕がコメントできる立場に、ないんですけど。来年、どうなっているか、誰も分からないし…。でも、非常に楽観はしています。映画は、この何十年も、いろいろな危機があった。テレビが出てくるところから始まって、今やパソコンの配信とか、いっぱい広まっている。でも、映画館はそれなりに、にぎやかですよね。もうちょっとしたら、映画館も…今も『鬼滅の刃』は大ヒットしていますし、この程度(コロナ禍)のことで、映画はへこたれないよと思っていますけどね」

映画と映画の力を信じる黒沢監督の力強い言葉に、スタジオの空気が締まるのが、ラジオからしみ出すようだった。

阿佐ケ谷姉妹は「スパイの妻」を見ていて、親交のあるお笑いコンビ「ずん」の、やすが出ていることを見つけたと黒沢監督に突っ込んだ。同監督は「なかなか見つからないでしょ。言っちゃうとネタバレになる。恐ろしい、ある情報の決定的な何かが見える。よく気付いていただきましたね」と、阿佐ケ谷姉妹の観察力の高さを絶賛した。阿佐ケ谷姉妹は「(やすとは)仲良くさせていただき、お菓子なり梨を送り合う仲。お知り合いの先輩が出ているのも誇らしかった。芸人さんを切り取ってなさる映画の表現方法も素晴らしい」と絶賛した。