大みそかの格闘技イベント「RIZIN.26」(さいたまスーパーアリーナ)で、2016年リオデジャネイロ五輪レスリング男子グレコローマン59キロ級銀メダルの太田忍(27)が、ベテランの所英男(43)に善戦むなしく惜敗した。

 ともにアグレッシブに攻めて出る熱戦となった。1R序盤は所が右ストレートを決めて尻もちをつかせるなど優勢に進める。さらに、グラウンドの攻防でも下からの蹴り上げやパンチなどダメージを与えた。しかし、太田もメダリストのフィジカル能力の高さを発揮。三角絞めや腕十字を決められそうになっても、驚異の力でリフトアップ。バスターで叩きつけて脱出した。

 2Rも開始からグラウンドの攻防。さながら回転体vsフィジカルモンスターの戦いとなったが、最後は所が下から腕を取り、回転しながら十字固めを決めてタップを奪い勝利した。

 将来のスター候補に見事な〝指導〟を施した所は「RIZINファンのみなさん、格闘技ファンの皆さん、お久しぶりです。所英男です。太田忍選手、今日は自分の力を出せなかったと思いますが、来月とか再来月やったら違う結果になったと思います」とコメント。

 さらに「何もできない僕ですけど、格闘技をやることによって周りの方に応援してもらえたりとか、喜んでもらえたりとか、格闘技っていいなと感じました」と話し、拍手を浴びた。

 一方、太田は試合後「やっぱり思っていた以上にというか思っていた通りに、所さんのグラップリングは素晴らしかったです。最後はわかっていても取られてしまいました」と完敗を認めた。「デビュー戦ですし、この悔しい気持ちをもってドンドン上を目指して頑張りたいと思います。ヒジを痛めてしまったので、それをしっかり治して。自分に足りないものを補っていって強くなれればいいと思います」と継続参戦へ技術を高める決意。さらに「試合後、所さんのところにあいさつに行って『グラップリングを教えてください』といったら『ぜひ』と言ってくれたので、貪欲に、自分が強くなれるようにやっていきたいです」と、さらなるチャレンジを見据えていた。