サッカー日本代表の森保一監督(52)が報道各社の合同インタビューに応じ、2021年シーズンの展望を語った。3月にカタールW杯アジア予選が再開し、7月には東京五輪も開幕する中、指揮官はどんなことに取り組んでいるのか。連載第2回では現在の率直な心境を明かした。
 
 ――選手の力を引き出すための工夫は 

 森保監督 所属クラブでレベルアップしてくれれば自然と日本代表の戦力アップにもつながる。活動ができなかった時、これまで招集した選手には連絡してコミュニケーションを取って現在の様子を聞いたり、感染や体調に気をつけながら「頑張ってほしい」と伝えた。選手の力を引き出すために、モチベーションをどう高めるかを考えているが、そこは自分で高める選手たちが揃っている。私がやらなければいけないのは、チームのベースのコンセプトをピッチ内外でどうしてほしいかを伝えること。チームの役割の中で個性を発揮してもらえるようにしていくこと。

 ――自粛期間に読んだ本やマインドで影響を受けたもの

 森保 最初に読んだのは岡田メソッド。岡田(武史=元日本代表監督)さんは2度(1998年フランス、2010年南アフリカ)W杯を経験されて、世界の中で勝っていくために日本人が何をしなければいけないか、W杯の戦いを含めて考えているので、我々の活動にも生かせることがたくさんあると思って、もう一回確認の意味も含めて読んだ。他には野球の原(辰徳)監督、麻雀の桜井(章一)さん。20年間無敗でしたっけ。将棋の羽生(善治)さんの本など刺激を受けた。

 ――具体的なところは

 森保 原監督は団体スポーツでマネジメントする側として、うまい選手より強い選手を必要としていると本に書かれていて、まさにそうだと思った。選手の見方として学ばせてもらった。桜井さんや羽生さんは、一人で考えなくちゃいけない、相手との駆け引きがたくさんある中で精神的に自然体でいられる、冷静な状態を保つという考え方や心構えはそうだなと思って感じた。人はプレッシャーがかかったときにどれだけ冷静でいられるかをすごく感じた。勝負師は、勝つことよりそのプロセスを大事にしていると感じた。原さんは「原点」という本を読んだ。

 ――代表監督とクラブの監督の違いでアプローチをどう変えたか

 森保 試合までの準備期間が違う。クラブはキャンプの時間を取ってシーズンを通してチームづくりを進めていく。代表はほとんどが試合の前に集まって2、3回の全体練習で試合に臨まないといけない。その中でアプローチは、ミーティングの回数を多くすることが大きな違い。あとは選手とコミュニケーションを取りながら試合に向かっていく、選手に対してこういうことやってほしいという要求についても、全体だけでなく語り掛ける。そこはクラブも代表も変わらないが。

 ――来年6、7月の強化方法のイメージ

 森保 3月の活動はA代表と東京五輪代表の活動は別々になる。3月を終えた時点で、6月の活動になる。6月もAと五輪が別れて活動も考えられるし、融合、ミックスさせる活動もある。これから最善の準備ができるように進めていきたい。プランはいくつか持ちながら状況に応じて。五輪もW杯に向けても結果を出せるように計画していきたい。(続く)