コンビ結成45年の大御所漫才コンビ「オール阪神・巨人」は昨年、コンビとしては初となる楽曲「誠!! 浪花の晴れ姿」を配信した。45周年の記念に「喝采」「北酒場」で有名で、昨年暮れに亡くなった中村泰士氏に作ってもらったという。早くも紅白出場も口にする2人に楽曲への思いとともに、45年の芸能人生を振り返ってもらった。


【結成45年オール阪神・巨人インタビュー(3)】 

 ――師匠の岡八郎さんの思い出は

 巨人 師匠から教わったのは「許す力」やと思ってるんです。大失敗も何回かやったけど、許してくれた。何で許してくれたんかというと、師匠に尽くしてたからやと思うんです。僕は弟子には厳しかったですけど、もっと優しく、許す気持ちを持って弟子はとった方がええんかなとは思いますね。

 ――確かに世間的には「怖い」というイメージも

 巨人 僕、案外許すんですよ。若手のみんなが「そんなんやったら巨人師匠に怒られる」なんて話しますけど、ホンマに怖かったら名前も出されへんと思う。

 阪神 相方は思ったこと、ためてられへんのです。はっきりズケズケと言うから、みんな怖いと言うんやと思います。ケンカ売りに行ってるわけやないんです。

 巨人 お笑い芸人である前にルール・マナーを守る常識ある人間でないとダメですから。昔は師匠持ちのお弟子さんがほとんどで「それはあかんで。師匠に恥かかすで」って言うてましたけど、今は学校(NSC)上がりやから、あんまり言わんようになったね。

 ――今後について

 巨人 テレビで漫才するのはイヤなんで、テレビで漫才しない宣言してもええかなと思いますけど、劇場の漫才は楽しいし、ずっとやらせてもらいたいですね。ただ、お客さんに違うなって思われたり、見ててみすぼらしいと思われるようなら明日にでも辞めます。あとは歌でもうひと花咲かせてみたいし、映画なんかでチョイ役とかで出れたら面白いですけどね。

 阪神 僕は邪魔くさがりですし、もう挑戦はせーへんと思いますねん。我々の漫才はテンポが速いですけど、しゃべりの速さがお客さんに分かってもらえるうちは続けられるかなと思ってます。自分であかんなと思ったら「どうしましょ?」って言いますけど、まだ大丈夫だと思います。


 ☆おーるはんしん・きょじん アマチュア時代から知り合いだった南出繁(みなみで・しげる=オール巨人=1951年11月16日生まれ、大阪市出身)と高田昭憲(たかた・あきのり=オール阪神=1957年3月7日生まれ、大阪府泉大津市出身)が岡八郎に弟子入りし、1975年に結成。早くから頭角を現し、史上最多となる4度の上方漫才大賞受賞など各賞を総なめ。2019年には紫綬褒章を受章。上方漫才界のレジェンドとして現在も活躍している。