ソフトバンク・周東佑京内野手(24)が今季の究極目標に「フルイニング出場」を掲げた。今季のテーマは出塁率アップ、盗塁数のキャリアハイ更新だが、それも「試合に出てこそ」。そう意気込む韋駄天に、球団も大きな期待を寄せる。見る者を刺激する〝鷹のアベンジャーズ〟の一員として、周東には常時出場を求められている――。


 リードオフマンとしての地位を盤石にするシーズンが始まる。11日は、課題の守備力向上を目指して昨年に続き参加している「今宮塾」での練習を公開。「セカンドを守る中で、レギュラーを取れるように挑戦していく」と力強く表明した。昨季は育成出身選手として初の盗塁王を獲得し、世界記録となる13試合連続盗塁を達成。おごることなく、さらなる進歩を誓った。「143試合出れば、おのずと数字もついてくる。やっぱり143試合全部に出てレギュラー。それができないとレギュラーとは言えない」。究極の目標にはフルイニング出場を掲げた。

 超人的脚力でファンを魅了する存在になった。一躍、その名を売った2019年は、代走で名前をコールされれば球場の雰囲気を一変させた。同年の「プレミア12」では日本代表に選出されて盗塁王。昨季は打撃力を向上させてシーズン中盤からリードオフマンを担い、リーグ優勝と日本一4連覇に大きく貢献、大台の50盗塁を達成した。オフには全国放送の正月バラエティー番組に出演するなど、人気と知名度はうなぎ上り。野球ファン以外にも「周東佑京」は確実に認知され始めている。

 プロ野球はスポーツであると同時に〝エンターテイメント〟の要素も持つ。ファンを集客し、魅了し、さらなる人気拡大につなげなければ未来はない。球団には「ただ強いだけでなく、魅せて勝つ」という考えがある。その取り組みや仕掛けはグラウンド内外に及ぶが、選手のマンパワーに勝るものはない。

 球団幹部はこう話す。「飛距離と破壊力のある柳田のホームラン、甲斐キャノン、そして周東の走塁…。『この選手が見たいから球場に行きたい』と思わせる特別な才能を持った選手を揃えられるか。彼らは全試合出場できる野手。センターラインに甲斐、周東、柳田が常時並ぶラインナップはエンターテイメントとして期待に応えれる」。他では見られない特別な才能にファンは驚き、お金を払って見たいと思う。間違いなく周東の脚は〝鷹のアベンジャーズ〟の重要ピースだ。

「周りの見られ方っていうのも変わってくると思う。一昨年は『代走で有名な人』って思われた。去年はそこからステップアップして、また見られ方も変わってくると思う。そこに向かっても挑戦していかないといけない」。立場や求められる「理想像」を理解し、常時出場を目指す周東。アメコミのヒーローよろしく、チームを救い、見る者をワクワクさせる――。