六角精児(58)が11日、東京・新宿ピカデリーで行われた映画「すばらしき世界」(西川美和監督)初日舞台あいさつで「人間らしい優しい男をやらせていただくのは、本当に久しぶり。ありがとうございました」と西川美和監督(46)に感謝した。

六角は劇中で、主演の役所広司(65)演じる刑期を終えて出所した元殺人犯の三上正夫が万引をしたのではないかと最初は疑いつつも、誤解が解けてからは優しく接し、サポートするスーパーマーケットの店長・松本を演じた。六角は「普段は詐欺師とか、変態、どういう性格なのか、よく分からない男の役が多い。そういう不思議な役、クセのある役が嫌いなわけでは決してない。やりたいとは思うんですけど、純粋な人間をやれたのがうれしい。人からもらった愛情、優しさは借り物だと思っている。人に返すのを役として出来たのはうれしい」と笑みを浮かべた。

また役所について「ニュートラルにお芝居に入られる方。そこから積み重ねて、いつのまにか役に入り込むのが、こちらにも分かる。全体を通してみて、こんなに素晴らしいお芝居になっているのだと、後からつないで、しみじみ感じられる。どういう風に切り替えているのかが分からない」と評した。その上で「素晴らしすぎて、僕なんかには、なかなか分からない。素晴らしすぎて、なかなか勉強にならない感じの俳優さん。一緒にやっていて、何かを盗むというようなことはなかったです。ただ、一緒にやらせていただいて良かったと、肌で感じたことは確かであります」と、役所の俳優としての奥深さに感嘆の声をあげた。