哀川翔(59)が14日、主演映画「新 デコトラのシュウ 鷲」(19日公開)の舞台あいさつ付き試写会を埼玉県入間市で行った。

「デコトラ」シリーズは哀川の代表作。誰にでも頼られるトラック運転手が必ず失恋する笑いあり涙ありの人情悲喜劇で、12年ぶり6作目。本来ならばマスコミにも披露して取材もオープンにするはずだったが、新型コロナウイルス対策を優先して一般客への公開にとどめ、制作委員会が情報提供する形式とした。

コロナの影響で昨年4月にクランクイン予定だったが3カ月延期されて、埼玉県飯能市でロケが行われた。

舞台あいさつで、撮影当時について哀川は「コロナのまん延し始めのころでマスクやフェイスガードをつけてのリハーサルでした。素顔で本番をやるのが違和感があったね。いうなれば覆面レスラーが実際の試合で覆面を外してプロレスするようなもん。本番で演技のイメージの違うことに戸惑った」と話し、「共演の柳沢慎吾がよくしゃべるんで、12年ぶりにデコトラの現場に帰ってきたんだなと感じましたね。ほとんどが一発OKで撮り直しのない雰囲気はいいチームだな、と感じていました」と現場の空気感を語った。そして、忍び寄るコロナの脅威を感じるロケだったことについて「それでもこの撮影期間にコロナ感染者が出なかったことがなによりだった」と胸をなでおろしていた。

ロケ地から近い大きな映画館という縁でユナイテッドシネマ入間が試写会場となった。300人収容のスクリーン9で観客を1人おきに配置して入場を半数の150人に抑え、手指の消毒、マスク必着、店外からの飲食の持ち込みを禁止するなどの徹底した対策を打った。

「デコトラ」シリーズは、2004年にスタートした。1970年代、菅原文太主演の東映人気シリーズ「トラック野郎」の平成バージョンとして引き継がれ、元号が令和となった今作品は哀川が文太兄いの歌っていた「一番星ブルース」を主題歌としてカバーした。哀川が他人の曲をカバーするのは初めてになる。レコーディングは昨年都内で行われ、映画ではエンディング曲として流れた。

哀川は「平成時代にこのシリーズが始まったときは一番星ブルースは年齢的にもオレは歌うには早いと感じていて、今年還暦になるんだけど、ようやく歌える年齢になってきたかなと思えます」と話し「スッキリしたバージョンと、ちょっとやさぐれた節回しのパターンで歌い分けてみた。それで、やさぐれ版を採用しているんですよ。みなさんにも歌ってかわいがってもらいたいね」と話した。

デコトラは「デコレーショントラック」の略称で、電飾で外面を飾り夜間はキラキラと輝きを放ちながら疾走するトラックのことを指す。哀川にとってデコトラは吉兆のシンボルでもある。高卒後「ひと旗あげてやる」という意気込みで鹿児島から単身夜行列車に乗って上京した際に「夜闇を裂いて進む列車と並んで、あれは東海道だったのかな、ギンギラのトラックが走っていた。初めて見てすげぇトラックが世の中にはあるもんだ、と感動した。まさか、トラック野郎を演じるとは思ってもみなかったな」と哀川は笑った。

「新 デコトラのシュウ 鷲」は19日からイオンシネマ板橋など全国38館で公開される。