俳優高橋一生(40)が、野田秀樹氏(65)作・演出のNODA・MAP公演「フェイクスピア」(5月24日~7月11日、東京芸術劇場プレイハウスなど)に主演することが3日、分かった。高橋はNODA・MAPに初登場。出演はほかに川平慈英、大倉孝二、前田敦子、村岡希美、白石加代子、野田、橋爪功。川平、前田も野田作品初参加のほか、白石、橋爪の演劇界のビッグネーム2人の出演も見どころだ。

昨年からワークショップに参加し準備を重ねてきた高橋は「野田さんのワークショップで、キャストの皆さんと少年少女のように壮大なごっこ遊びをしていました。とても楽しい時間で、その感覚がきっと作品に昇華されると確信しています」とコメントした。

フェイクな言葉があふれる世の中だからこそ、言葉に向き合った作品になる。恐山を舞台に死者の言葉を語るイタコも登場するという。ワークショップは、チームに分かれゲームなどをしながら、憑依(ひょうい)したらどうなるかなど、演劇的要素を取り入れながら進んだという。

言葉をなりわいにしてきた野田氏が、あらためて言葉に向き合う。30年ほど前に出会った「コトバの一群」をいつか芝居にという思いがあった。シェークスピア作品をちりばめ、仕掛けやたくらみを盛り込むという。観客はフェイクに翻弄(ほんろう)されながら芝居の世界に没入していくことになりそうだ。

高橋の起用も言葉の要素が大きい。野田氏は高橋のことを、言葉がまっすぐに響く希有(けう)な役者ととらえているという。高橋が野田氏に出会ったのは06年、ワークショップに参加したのが初めてだった。作品出演には至らなかったが、高橋の身体能力の高さは際立っていたという。

野田氏の着想から30年、高橋との出会いから15年を経て、作品が結実することになる。東京は50ステージ、7月15~25日の大阪・新歌舞伎座では12ステージ。

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高橋はさまざまなジャンル、劇作家、演出家の舞台に出演してきた。ミュージカル「レ・ミゼラブル」、蜷川幸雄さん演出の「にごり江」「から騒ぎ」「元禄港歌-千年の恋の森-」や、鴻上尚史、白井晃、渡辺えり、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏らが演出の作品もある。「元禄港歌」は野田氏も観劇したという。昨年は主演舞台「天保十二年のシェイクスピア」がコロナ禍で一部中止になったが、くしくも、シェークスピアに縁のある作品への出演が続く。