文化庁の新長官に、ピンク・レディーや山本リンダ(70)らのヒット曲を手掛けた作曲家・都倉俊一氏(72)が就任することが決まった。都倉氏が特別顧問を務める日本音楽著作権協会(JASRAC)が5日に発表した。

 都倉氏の人事は5日の閣議で政府が決定。宮田亮平現長官(75)は年度末で退任する。都倉氏の任期は4月1日から2023年3月末まで。

 都倉氏はピンク・レディーの「UFO」や「サウスポー」、山本の「狙いうち」「どうにもとまらない」などを作曲。狩人の「あずさ2号」や山口百恵さん(62)の楽曲も手掛けた。「日本レコード大賞作曲賞」など受賞歴も多い。10~16年にはJASRAC会長を務めた。映画や舞台の音楽、ミュージカルなど幅広く活動しており、18年には文化功労者に選ばれた。

 学習院大在学中に作曲家デビューを飾った都倉氏は、かつて本紙の取材に対して日本の音楽シーンを振り返っている。伝統的な歌謡曲からポップスに流れが変わり、「そこで登場してきたのが、われわれカレッジポップスの洗礼を受けたフリーの作詞、作曲家なんです」と世代観を語った。

「ひと夏の経験」(1974年)などで百恵さんをブレークさせ、数年後にはピンク・レディーが時代の寵児に。とりわけ後者では、作詞家・阿久悠さん(故人)とのコンビでヒットを連発した。

 無類の相撲好きと言われ、15年に横綱審議委員に就任。東京五輪関連では「国立競技場将来構想有識者会議」の文化面におけるワーキンググループの座長も務めた。

 世論が沸騰した新国立問題では、当初計画された8万人客席、開閉式屋根のうち、コンサート利用も考え、同屋根については「マストな条件」と主張したが、白紙撤回とともに観客席だけを覆う形に変更された。

 文化庁は文部科学省の外局で、21年度予算案では1075億円が割り当てられている。初代長官の作家今日出海氏(故人)以降、官僚出身者や学識経験者が多かった歴代トップにあって、都倉氏は異色の新長官。ライブエンターテインメントに詳しく、コロナ禍のアーティスト支援への手腕も期待されそうだ。