近年アカデミー賞では人種差別が問題となっている。去年と今年の俳優部門にノミネートされたのは全員白人で、昨年はツイッター上で#OscarSoWhite(オスカー賞は白人ばかり)がトレンド入り、今年は映画監督のスパイク・リーやウィル・スミス夫妻が、抗議のために2月に開催されるアカデミー賞をボイコットすると宣言し、問題が深刻化している。

 問題の主な原因として、受賞者を決める会員の偏りが指摘されている。「ロサンゼルス・タイムズ」誌が2012年に行った調査によると、会員の年齢の中央値は62歳、男性が77%、白人が94%を占めているという結果だった。偏った会員の投票によって選ばれたノミネート者が、2年連続で白人ばかりだったことから人々の反感を買ったようだ。

 なぜここまで会員が偏っているかというと、会員になるためのプロセスに問題がありそうだ。アカデミーの会員になるためには、厳しい条件がある。例えば、キャスティング・ディレクターやスタント・コーディネーターは応募する際に10作品もの功績が必要になる。監督やライター、プロデューサーには、2作品の功績が求められる。これらの作品はどんなものでもよいわけではなく、アカデミー賞の理事会が認めるような「高い水準の品質」でなければいけないという。

 また、応募者は自分が加盟したい部門の既存会員2名から署名をもらわなければいけない。署名をもらった後に、春に行われる特別委員会の審査を経て、その後アカデミーの理事会が会員希望者をさらに絞り込み、合否が発表される流れとなっている。最終的な判断を下すのは理事会で、その閉鎖的な選考プロセスを問題視する声は多い。

 今年から会員自体を変えていく必要があるとの見方が強まり、映画芸術科学アカデミー会長が会員制度の改定を行うことを表明。今後は現状の規定を見直して、より多様性を取り入れた会員制度にしていく方針だという。会員制度の改定によって、アカデミー賞が抱える問題が緩和されることを期待したい。

【ハリウッドニュース編集部】