昨年11月18日に急性大動脈解離で亡くなった、東映会長の岡田裕介さん(おかだ・ゆうすけ、本名岡田剛=おかだ・つよし、享年71)のお別れの会が10日、都内で行われた。

この日は、横浜緋(ひ)桜70本、トルコキキョウ1600本など、1万2800本の花に彩られた、祭壇がしつらえられた。前面は東映映画のオープニングシーン「荒磯に波」をイメージし、祭壇後方の両サイドには主なプロデュース作品のポスターを掲出した。

遺影は遺族の意向も反映し、17年にプロフィル写真用に本社会議室で撮影したものの中から、岡田会長らしい、笑顔のものを選んだ。遺影の両サイドの桜には、新型コロナウイルス感染の収束と春の到来の願いが込められており、晩年のライフワークだった北の3部作の最終作品として18年3月に公開された「北の桜守」の桜にも関連したものとなった。

会場内には、俳優時代からプロデューサー、東映社長、会長を含めた経営者などの多彩な顔を持つ岡田会長の足跡を表した11分間の映像が流れた。長年、共演や多くの作品作りに関わった岩下志麻、小林稔侍、西田敏行、水谷豊、吉永小百合からの贈る言葉で始まり、数々の作品製作、業績を、貴重な写真・映像で振り返った。映画の配信の隆盛を前にしても、「映画館はなくならない、映画は不滅です」と語る16年のインタビューや、日本アカデミー賞授賞式の「公平な賞の選定はもとより、日本映画の最大のお祭りとして日本映画が続く限り君臨してほしい」などのスピーチも収録。一貫して、人を楽しませることの素晴らしさを体現していることに触れた内容となった。