【赤坂英一 赤ペン!!】DeNA・三浦大輔監督(47)の“開幕投手隠し”は傑作だった。すでに11球団が発表した中、20日の出陣式イベントまで発表できないため、徹底して口にチャック。「浜口が一歩リード」と認めた6日の試合後も、こう言ってけむに巻いていたほどだ。

「もちろん平良も候補だし、京山にも魅力を感じますし、上茶谷も入江もいますし、阪口の可能性もゼロではないです」

 ドラフト1位・入江大生投手(22=明大)まではともかく、4年目で未勝利の阪口を候補に入れていたのには少々驚いた。番長の思い入れが並々ならぬものであることがうかがえる。

 そんな中、5年目で初の開幕投手に抜てきされたのが浜口遥大(26)。26日には日本球界を代表するエース、巨人・菅野と投げ合う。両者の力量の差はいかんともし難い、というのが大方の見方だろう。が、その浜口にも、菅野を上回っている実績がひとつだけある。日本シリーズにおけるソフトバンクとの対戦成績だ。

 2019、20年と0勝2敗の菅野に対し、浜口は新人だった17年に1勝。しかも8回一死まで無安打無得点という快投で、日本シリーズ優秀選手賞まで受賞した。ドラフト1位で入団したこの年はレギュラーシーズンで10勝を挙げてセ・リーグの連盟特別表彰(新人特別賞)を受け、CSでも1勝1ホールドをマークした。

 しかし、2年目以降は伸び悩んで勝ち星は1桁止まり。ラミレス前監督の信頼度も低く、昨年のいまごろは「浜口の使い方はデー・バイ・デー。その日の投球内容を見て考える。先発に固定すると決めてはいないよ」とまで公言していたほど。

 浜口は不用意に走者を出すことが目立ち、1年目でリーグ最多の69個を記録したように四球も多い。その悪癖で試合を壊されてはたまらないと思ったのか、ラミレス前監督は昨年6月30日の巨人戦で、3安打1失点と好投していた浜口を6回一死一塁で交代。代わった国吉が打たれて逆転負けし、浜口もファンもガッカリさせていた。

 今年の浜口はキャンプ中から、開幕投手をやりたいと首脳陣に直訴。「練習ではストライクゾーンに強い真っすぐを投げる、というテーマを継続してきました。崩れそうになったら、カーブで修正していく。上からたたくように投げる感じのカーブです。(走者を出したら)けん制もしっかりやる。チームで取り組んでいることなので」

 こういう投手が開幕戦で“ジャイアントキリング”したら、今年のセ・リーグは面白くなる。 

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。