IT大手ミクシィと英国風パブチェーン「HUB(ハブ)」を運営する株式会社ハブが先日、業務提携契約を締結したと発表した。ミクシィの関連会社が、既存株式の譲渡とハブの第三者割当増資を引き受ける形で15億5000万円を出資する。

 SNS「mixi」やスマホアプリ「モンスターストライク」などのコミュニケーションサービスを提供するミクシィに対し、ハブは東北、関東、中部、関西、九州エリアで109店舗を運営。デジタルな世の中にあえてアナログな場を大切にしている。そんな両社が互いの経営資源や強みを相互に活用した協業により、両社の企業価値向上を図ることを目的に業務提携契約の締結に至り、オフラインのハブとオンラインのミクシィを掛け合わせることでシナジーを創出し、双方の事業成長につなげていくという。

 この提携について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ミクシィはもともとマッチング、出会いの場です。興味のある話題に集まりコミュニティーができる。一方で、ハブは駅前のいい場所に店舗を構えているし、女性1人でも安心して飲める。要は相席居酒屋のような形で、ミクシィの世界をリアルでやってしまおうということでしょう」と指摘する。

 その背景にはSNSが乱立し、勝ち組が見えてきたことがある。

「人口には限りがあり、これ以上、ミクシィがユーザーを増やすのは難しいという判断もあったでしょう。バーチャルだけでなく、リアルを融合させないと新しさもない」

 一方で、ハブも新型コロナウイルスの影響を受け業績が悪化しており、前出109店のうち9店の閉店が決まっている。ミクシィの支援で財政面が強化されるだけでなく、客を確保できるメリットもある。

 井上氏によると、すでにこうした流れはダーツバーなどで起きているそうで「今のご時世ではリアル店舗は集客も難しくなっている。ミクシィが共通の話題を提示することで話も弾みますし、安心感も与えられる。マッチングのメリットは大きく、今後もこうした提携は増えていくのではないか」と話している。