梶原岳人:テレビアニメ「ブラッククローバー」 アスタと歩んだ3年半 諦めない力をもらい

「ブラッククローバー」で主人公・アスタを演じる梶原岳人さん
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「ブラッククローバー」で主人公・アスタを演じる梶原岳人さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の田畠裕基さんのマンガが原作のテレビアニメ「ブラッククローバー」(テレビ東京系)が、3月30日放送の第170話で最終回を迎える。2017年10月のスタートから約3年半にわたって主人公・アスタを演じてきたのが声優の梶原岳人さんだ。「ブラッククローバー」は梶原さんの初主演作で、後に「炎炎ノ消防隊」「シャドウバース」でも主演を務めるなど“出世作”となった。最終回のアフレコを終えた梶原さんに「ブラッククローバー」、アスタへの思いを聞いた。

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 ◇「ブラッククローバー」がなければ今の自分はない

 「ブラッククローバー」に出演してから梶原さんの勢いは止まらなかった。「炎炎ノ消防隊」「シャドウバース」でも主演を務め、2020年には第14回 声優アワードの新人男優賞にも選ばれた。同年、アーティストデビューし、「ブラッククローバー」のエンディングテーマ「A Walk」を担当するなど活動の幅を広げてきた。MANTANWEBでは、放送開始時から節目ごとに梶原さんを取材してきたが、取材をする度に梶原さんが“大きく”なっていく姿を見てきた。ただ、番組が始まった当初は、自信がなさそうにも見えた。

 「最初は、アフレコもほとんどやったことがなくて、演技の基本的なことも分かっていませんでした。音響監督の高桑(一)さんに演技について教えていただいたり、食事に連れて行っていただいて、いろいろなことを聞いたり、スタッフの皆さんとも深く関わらせていただきました。皆さんにたくさんのことを教えていただき、助けられました。『ブラッククローバー』がなければ、今の自分はないと思います」

 経験を重ねることで、新たな課題も見えてきた。梶原さんは人気声優になったが「まだまだです」と慢心することはない。

 「少しは周りが見えるようになって、考えることが増えました。。今でもまだまだですが、現場での座長としてのたたずまいとか、どうすれば円滑に現場が回るのか?だったりと、考えなきゃいけないことだらけなんです。最初の頃の映像を見返すと、当初、なりふり構わずに演じていた勢いなどは、考えずにできていたことですが、今はそれが足りなくなっているなと感じたり……。吸収するものがたくさんあったけど、新しく考えることも増えました」

 ◇悩みっぱなし」の3年半

 「悩みっぱなし」の3年半だった。魔力を持たないが、「諦めないのが俺の魔法だ」と努力を重ねて成長するアスタから刺激を受け、壁を乗り越えてきた。

 「壁をどうやったらぶち破れるのか?と分からなくなる時もありました。同じことにずっと悩んで。ネガティブになりそうな時もあったんです。でも、アスタはいくら壁にぶち当たっても、諦めない気持ちをずっと持っていて、壁を乗り越えます。頑張って、周囲を巻き込み、みんなにいい影響を与えて、戦います。その姿を見ていると、演じる僕がめげていたらいけない!諦めたくない!と力をもらい、自分を奮い立たせていました」

 「ブラッククローバー」は、夕方に放送していることもあり、子供にも人気だ。国内だけでなく、海外にも熱いファンが多い。梶原さんは、ファンの熱い思いを受け止めながら、アスタを演じてきた。

 「海外にいる友人から『みんな、見ているよ!』という声をいただくこともありました。僕は高校生の時にシンガポールにいたのですが、その頃も、アニメをたくさん見ていて、アニメは、国境を越えて、たくさんの人に愛されている文化だと強く感じていました。今こうして自分が出演している作品が、たくさんの方に見ていただけるのは、すごくうれしいです。『ジャンプ』作品ということもあって、子供たちが見てくれているのもうれしいですね。僕も子供の頃、ジャンプヒーローに憧れていました。アスタがそういう存在になっていることを感じて、僕も力をいただいています」

 ◇また戻ってくると信じて

 努力をして、仲間に助けられながら成長してきた梶原さんとアスタは、重なるところもある。最終回では、3年半の経験、思いをぶつけるようなシーンもあった。

 「最終回は、アスタがこれまでを回想して戦うシーンがあるんです。積み重ねた経験を生かして戦います。僕も3年半の経験を集約して戦う気持ちでした。これまでのことを思い出しながら演じていると、ウルッとしましたが、アスタはウルッとはしないので。その気持ちを抑えながら、アスタの感情とシンクロしながら演じることができました」

 最終回のアフレコを終え「寂しいですね。生活の一部が消えていくような感覚です」と明かす。

 「こんなに長く一つのことを続けられたことはなかったので、この経験が宝物になっています。終わる実感があまりなくて……。最終回のアフレコで、スタッフの皆さん一人一人にメッセージを書いてお渡ししたのですが、いろいろなことを思い出しました」

 最終回を迎えることは寂しいが、梶原さんは前を向いて進んでいく。

 「どの現場でも壁があり、納得できた!と思うことはなかなかありません。どんどん課題が見つかりますし、壁を越えていかないといけません。油断したら終わりです。慢心せずに進んでいきたいです。ただ、3年半の経験は自信にもなっています。これからは、培ってきたものをお返ししていきたいです」

 「また戻ってくるタイミングがあると信じて、もっと力を付けたい。戻ってきた時は、さらに成長できるように頑張りたい」と力を込める梶原さん。アスタのように、これからも壁を乗り越えていくはずだ。最終回となる第170話は、放送前後に最終回記念特番が配信され、“重大発表”も予定している。“重大発表”にも期待したい。

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