【ライヴレポート】LUNA SEA、<RELOAD>初日「大好きを通り越して、大好キングです!」

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LUNA SEAが3月27日および28日の2日間、さいたまスーパーアリーナで<LUNA SEA –RELOAD->の振替公演を開催した。同公演より初日のライヴレポートをお届けしたい。

◆LUNA SEA 画像

LUNA SEAが還ってきた。ただ、特大の太字でドンとそう書きたくなる初日だった。まずは2020年12月26日、27日の振替公演として──ではあるが、この日集った想いはそれだけではない。約1年前、<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 2020 –CROSS THE UNIVERSE->の2都市目、FC限定の町田市民ホール2daysを行って以来のライヴ。記念すべき10thアルバム『CROSS』を引っ提げての30周年イヤーとして華々しく駆け抜けるはずだったところが、まったく違うものになってしまった2020年を経て辿り着いたステージなのだ。

さいたまスーパーアリーナは、LUNA SEAにとってもオーディエンス=SLAVEたちにとっても、過去何度もライヴを行い慣れ親しんだ場所。とはいえ、一席ずつ空けていることもあり、やはりどこか緊張感が漂っている。そこに、暗転とともに荘厳なSEが会場に鳴り響いた。換気のためか、ステージ裏のスタンド席を覆わずにそのまま使ったセットが、SEと相まって神殿風に見える。敬虔な空気が漂うなか、メンバーが登場。特にコロナ陽性からの復帰となる真矢のドラムセットが神々しくライトアップされた瞬間、一段と大きな拍手が湧いた。


幕開けを飾ったのはアルバム『CROSS』の1曲目でもある「LUCA」だ。澄み切ったアルペジオと力強いマーチングのリズムで、閉ざされていた扉を押し開いていくようなオープニング。じわじわと高まっていく音圧と伸びやかなメロディが会場を温かく包み込んだ。“NA NA NA~”とコーラスするパートでは、RYUICHIが「心の声を!」と呼びかけ、続く「Déjàvu」でも、恒例のシンガロングパートは健在。声が出せないぶん、一斉にジャンプし、高く手を掲げて応えるオーディエンスを前に、SUGIZO、J、INORANが我先にとステージ端へと駆けだしていく。即行で上がっていく熱量に、心の距離もかすかな不安も、一瞬にして消えていた。

この1年間、ソロとしては積極的に配信ライヴを開催してきたLUNA SEAのメンバー。LUNA SEAとして5月に『MUSIC AID FEST. 〜FOR POST PANDEMIC〜』を主催しつつも、バンドとしての配信ライヴを行ってこなかったのは、こうして“再会”するためだったのではないかと思う。すべてを中止してまったく別のかたちでやり直すのではなく、彼らは、あの日の“続き”をずっと待っていたのだ。世界同時配信という新たな方法を加えながら、繰り広げられるライヴに在ったのは、頑として変わらないLUNA SEAらしさ。すべてが変わってしまったと思っていたけれど、5人はこの場所を諦めなかった。長い歴史の中で、さまざまな困難を乗り越えてきた意地と誇りをひしひしと感じる。RYUICHIがMCで「過去最高のライヴになるんじゃないかなと思っています」と発言していたのも、ある意味いつもどおりのスタンスの表れだ。


同時に、音のほうではLUNA SEAの止まらない進化を体感することになる。今回は感染予防対策のため、間に換気休憩を挟む二部構成。その第一部の軸は『CROSS』の楽曲だった。スピード感溢れるSUGIZOのリフで切り込む「Closer」、一転してJが優しいベースラインで導く「Pulse」。ポジティヴなパワーを放つRYUICHIの歌を中心に、メンバーそれぞれの音が立体的に構築されていくのがたまらなく心地いい。『CROSS』について、音源を聴いている段階では“落ち着いたアルバム”という印象だった。スティーヴ・リリーホワイトという初の外部プロデューサーを迎えて作られたことで、改めてメンバー個々の音が際立ち、攻撃性というよりもロックバンドとして地に足をつけた安定感が増した──と思っていたのだが、ライヴで聴くと見事に覆された。確かな安定感とともに、5人全員の音が想像以上に生き生きと暴れている。それらが有機的に絡み合い、どんどん遠くへ飛んでいくような感覚。

特に「PHILIA」では、アーバンなムードの導入から、RYUICHIの絶叫を引き金に、どんどんドラマチックに展開する世界観に息を呑んだ。中盤にはJがピアノを奏で、RYUICHIの歌に寄り添うという驚きの演出も。従来の濃密なグルーヴとはまた違う、進化したLUNA SEAサウンドに飲み込まれていく。ソロも含めて、それぞれが止まらずに活動を続けていたことも後押ししているのだろう(INORANがアルバム2作、SUGIZOが1作、なんとRYUICHIは3作もリリースしている)。すべてが繋がり、今、新しいLUNA SEAが生まれているのだ。


この感覚を表す言葉を脳内で探していたところに、RYUICHIが発した「会場全体がLUNA SEAという名のひとつの小宇宙」という言葉がスッと腑に落ちた。物理的な距離や制限を超えた交わり。制作当時は意図せずとも、そんな魂を持った『CROSS』というアルバムが生まれていたことが運命的だ。静と動の対比が圧巻だった「静寂」など、『CROSS』の楽曲たちもライヴという空間に解き放たれるのを待っていたかのように躍動している。最新型のLUNA SEAと、さらにここから拡がっていく可能性をしっかりと示し、温かな愛情を込めた「悲壮美」で第一部を締め括った。

換気休憩の時間には、約22分の楽曲「THE ONE」のインストバージョンが流れるという趣向が。なるほど、これならば飽きないうえに時間の経過もわかりやすい。休憩とはいえ、ニヤリとさせられる演出だった。


第二部のSEとして流れたのは、ベートーヴェンの「月光」にエレクトロアレンジを加えたトラック。いきなり第一部とはまったく違う空気に変わり、「LOVELESS」が放たれた。下から上へぐるっと照らすお馴染みの照明、トリプルネックギターを構えるSUGIZOのシルエット。何度体験しても鳥肌モノの光景に、もう一度ライヴが始まった感覚になる。第一部と打って変わって、第二部は終幕前のシングル曲連打という破格のセットリストが展開。一体感に満ちた「BELIEVE」、ギターソロを弾くSUGIZOをRYUICHIとINORANが挟み込んで盛り上げた「STORM」、「愛を込めて」と贈られた「I for You」などなど、時代を彩ってきた不朽の名曲たちが惜しみなく畳みかけられ、問答無用に熱狂が加速していく。

「ROSIER」「TONIGHT」の頃になると、声は出ていないのに、恒例のシンガロングパートがはっきりと脳裏に再生されていた。それを見越してか、遠慮なく「カモン!」と煽るところがRYUICHIらしい。きっとこの場所にいる誰もが心のなかで叫んでいたし、メンバーにもそれが届いていたのだろう。さらには、メンバーが積極的にアピールしていたカメラ越しに、この熱量が世界中で共有されていたはずだ。


アンコールでは、事前に配られた青いフィルムを貼ったスマホライトが会場を照らし、さいたまスーパーアリーナに青い光の海が現れる。RYUICHIが医療従事者、エッセンシャルワーカーへの感謝を伝えたあと、昨年の緊急事態宣言下にリモートスタイルで制作された「Make a vow」がライヴ初披露となった。ギター&ボーカルスタイルのRYUICHIというレアさもありつつ、SUGIZOが手話を交えながら歌うなど、「届けたい」というメンバーの想いが結晶化した力強いメロディが、美しい青い光と共鳴していた。

メンバー紹介タイムでは、それぞれが溢れる気持ちを言葉にしていく。「曲をやりながら、自分はちょっとうるっときてました」と明かし、「よりよい未来をみんなでつくれるように、僕らはこれからも鳴らし続けていきますんで、よろしくお願いします!」とINORAN。SUGIZOはツアー再開を約束するとともに「まだまだロックンロールし続けていくので。一緒に歩んでいきましょう」と語った。Jは「以下同文です(笑)」と笑いを取りつつ、「この一瞬一瞬を大切に、みんなと刻んでいきたいなと思っています」と宣言。満場の拍手で迎えられた真矢はひときわ感極まった表情で感謝を告げ、「ドラムから見てて、本当にみんながカッコよかったです。大好きを通り越して、大好キングです!」と、最後には笑顔で締め括った。そのあとRYUICHIを紹介するINORANとSUGIZOのくだりが若干モタついたのも、久しぶりのライヴならではのご愛嬌というもの。少年のように破顔する5人から、今夜のステージを心から楽しんでいるのが伝わってきた。



そこから、「全員でかかってこい!!」と始まったのは「WISH」。恒例の銀テープが飛ぶことも、“I Wish!”のコールもなかったけれど、もはや物足りなさは感じなかった。全員で新たな一歩を踏み出した多幸感に満ちた会場を見つめながら、RYUICHIが「みんながこうして来てくれたことで、何かまた世界が変わっていく気がするんだよね。LUNA SEAのこれからを、一緒につくってほしいなと思います」と語り、ラストに「so tender…」が贈られる。アコースティックギターとヴァイオリンの透明な音色が、今夜生まれた想いを明日へ、そのさらに先へ、時を超えて繋いでいくように響き渡っていた。

新しく進化する意志と、変わらないものを護り続ける覚悟。その両方を堂々と示してみせたLUNA SEA。彼らならば、今の状況すらLUNA SEAの歴史のなかの貴重な1ページだったと振り返ることのできる未来を実現してくれるに違いない。

取材・文◎後藤寛子
写真◎田辺佳子/橋本塁

◆<LUNA SEA –RELOAD->2日目レポートへ

■<LUNA SEA –RELOAD->2021年3月27日(土)@さいたまスーパーアリーナ

【第1部】
01. LUCA
02. Déjàvu
03. Closer
04. Pulse
05. PHILIA
06. 宇宙の詩〜Higher and Higher〜
07. 静寂
08. Hold You Down
09. 悲壮美
【第2部】
10. LOVELESS
11. BELIEVE
12. STORM
13. TRUE BLUE
14. IN SILENCE
15. I for You
16. ROSIER
17. TONIGHT
encore
en1. Make a vow
en2. WISH
en3. so tender...

■<LUNA SEA –RELOAD->2021年3月28日(日)@さいたまスーパーアリーナ

【第1部】
01. LUCA
02. Déjàvu
03. Closer
04. You’re knocking at my door
05. PHILIA
06. 宇宙の詩〜Higher and Higher〜
07. 静寂
08. Hold You Down
09. THE BEYOND
【第2部】
10. LOVELESS
11. BELIEVE
12. DESIRE
13. SHINE
14. gravity
15. I for You
16. ROSIER
17. TONIGHT
encore
en1. Make a vow
en2. WISH
en3. so tender...

■アーカイブ配信<LUNA SEA –RELOAD->

▼3月27日(土)@さいたまスーパーアリーナ 
アーカイブ期間:3月30日(火) 23:59まで
▼3月28日(日)@さいたまスーパーアリーナ 
アーカイブ期間:3月31日(水) 23:59まで
▼配信視聴チケット
¥5,500(税込)+各社手数料
・Streaming + https://eplus.jp/lunasea-s/
・ZAIKO https://lunasea.zaiko.io/e/reload

■8番組放送!WOWOW LUNA SEA月間

※LUNA SEAが3月に開催したさいたまスーパーアリーナ公演を6月に放送。5月放送のインタビュー特番、メンバーそれぞれのソロライヴ、MV集と合わせ、計8番組を2ヵ月連続で特集。
▼5月06日(木)放送
・21:00〜23:30:LUNA SEA Music Video Collection
・23:30〜25:15:J 20th Anniversary Live FILM [W.U.M.F.] -Tour Final at EX THEATER ROPPONGI 2017.6.25-
▼5月12日(水)放送
・20:00〜21:30:INORAN -VISION- SUITE ROOM #929 & -VISION 3-“Los Cowboys”
・21:30〜23:30:河村隆一 RK 20th Anniversary グランドフィナーレ “無限の生命”〜果てしなき旅、その先という名の道を目指して〜[WOWOW ver.]
▼5月19日(水)放送
・20:00〜21:30:SUGIZO LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE I & 聖誕半世紀祭
・21:30〜22:30:LUNA SEA Interview & Document
▼5月20日(木)放送
・20:00〜20:45:真矢 DSS [Drum Solo Selection]
▼6月放送予定
・LUNA SEA -RELOAD- さいたまスーパーアリーナ
https://www.wowow.co.jp/lunasea/

■<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 2020 -CROSS THE UNIVERSE->振替公演日程

▼東京ガーデンシアター※延期
2020年5月29日(金)→振替日程:2021年5月28日(金) 開場17:30/開演18:30
2020年5月30日(土)→振替日程:2021年5月29日(土) 開場16:00/開演17:00
2020年5月31日(日)→振替日程:2021年5月30日(日) 開場15:00/開演16:00
▼福岡サンパレス ※延期
2020年3月21日(土)→振替日程:2021年6月12日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月22日(日)→振替日程:2021年6月13日(日) 開場15:00/開演16:00
▼松山市民会館 大ホール ※延期
2020年4月11日(土)→振替日程:2021年6月26日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月12日(日)→振替日程:2021年6月27日(日) 開場14:00/開演15:00
▼札幌文化芸術劇場 hitaru ※延期
2020年5月09日(土)→振替日程:2021年7月03日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年5月10日(日)→振替日程:2021年7月04日(日) 開場15:00/開演16:00
▼南相馬市民文化会館ゆめはっと大ホール ※再延期
2020年3月14日(土)→再延期・振替日程:2021年7月31日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月15日(日)→再延期・振替日程:2021年8月01日(日) 開場15:00/開演16:00
▼宇都宮市文化会館大ホール ※再延期
2020年2月27日(木)→再延期・振替日程:2021年9月01日(水) 開場17:30/開演18:30
2020年2月28日(金)→再延期・振替日程:2021年9月02日(木) 開場17:30/開演18:30
▼仙台サンプラザホール ※再延期
2020年4月25日(土)→再延期・振替日程:2021年10月02日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月26日(日)→再延期・振替日程:2021年10月03日(日) 開場15:00/開演16:00
▼上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール) ※再延期
2020年3月28日(土)→再延期・振替日程:2021年10月23日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月29日(日)→再延期・振替日程:2021年10月24日(日) 開場15:00/開演16:00
▼大阪国際会議場メインホール ※再延期
2020年4月04日(土)→再延期・振替日程:2021年11月29日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年4月05日(日)→再延期・振替日程:2021年11月30日(火) 開場17:00/開演18:00
▼本多の森ホール(旧石川厚生年金会館) ※再延期
2020年3月07日(土)→再延期・振替日程:2021年12月04日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月08日(日)→再延期・振替日程:2021年12月05日(日) 開場15:00/開演16:00
▼神戸国際会館こくさいホール ※再延期
2020年5月02日(土)→再延期・振替日程:2021年12月20日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年5月03日(日)→再延期・振替日程:2021年12月21日(火) 開場17:00/開演18:00
▼新潟県民会館大ホール ※再延期(新潟テルサへ会場変更)
2020年4月18日(土)→振替日程調整中
2020年4月19日(日)→振替日程調整中
▼名古屋国際会議場センチュリーホール ※再延期
2020年5月14日(木)→振替日程調整中
2020年5月15日(金)→振替日程調整中

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