NEWSの加藤シゲアキが9日、都内で行われた令和2年度、3年度の吉川英治賞贈呈式に出席した。

 加藤は著書「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞した。加藤は「このひと月、賞をいただいてからいろんな方に、『おめでとうございます』といわれて、あまり小説を読まないような知人、友人からも『新人賞すごいね』といわれました」と、改めて受賞を喜んだ。
 
 加藤が執筆活動を始めたのは10年前の「ピンクとグレー」から。今回の受賞をしたことで、当時、この本の装丁を担当した方から、束見本をいただいたという。中身が印刷されておらず、サイズを測るためのものだが、「真っ白な本なんですけど、ここから10年たったんだな。がんばってきたな。少し自分をほめたくなりました」と笑みを見せた。

 10年前は「自分の中で書きたいという情熱とか躍動に近いエネルギー」が小説を書くきっかけだった。だが、その一方で「なんで自分が小説を書くんだろう。自分が書かなくても書店や図書館には優れた作品がいっぱいあるし、自分が書く意味はあるのか」と自問自答もしていた。

「自分が書かなくても」という思いには目をつぶる形で書き続けていたというが「今作で受賞したというのは、少しだけその部分を慰めてもらったのかな。加藤シゲアキは作家をやっていいんだよと慰めていただいた感覚になった」と話した。

 選考委員の恩田陸氏からは吉川英治文学新人賞は「これからもガンガン書いていただきますという賞です」という言葉を受けて「吉川英治文学新人賞は心強い味方になったと思います」と頭を下げた。