谷村新司(72)の衰えぬ好奇心に驚いた。動画配信プラットフォーム「タニムラテレビ」を立ち上げたという。

過去のライブ映像やドキュメンタリー、ラジオ番組など谷村のさまざまなコンテンツを定額で楽しめるもので、NetflixやHuluの“谷村版”といったら分かりやすいか。世界で初めて商用DVD「シンジ ラ ムニタ」(96年)を制作するなど新技術を積極的に取り入れてきただけに、本人は「前人未到のことを切り開くのは谷村の役割。72歳にして、日本の抱えるDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術の革新)という日本の命題に少しでも貢献できれば」と意気込んでいた。

音楽も映像も、なんでも取りそろえるのがサブスクリプションサービスの魅力だと思っていたが、こんな“タレント特化型サブスク”の形があるとは思わなかった。大前提として、谷村そのものに人を引きつけるコンテンツが豊富だから成立したサービスだが、あらゆる方向から“推し”が楽しめるのなら、ファンにとってはうれしい限りだろう。

コロナ禍でライブが思うように開催できない中、たどり着いたのが谷村公式のネットプラットフォームだったといい「いまだ誰もやったことがない。若いみんなに学びながら、DXをやることにしました」。歩みをとめない自分を「回遊魚」と表現し、「やってみたいことはいっぱいある。(コロナ収束後)動けるようになったら日本や世界中を訪れて、みんなが知らない場所を紹介したい」と新コンテンツの開発にも意欲的だった。

日課の散歩をしながらアイデアはどんどん湧いており、思い付けば開発担当者に直接電話をかけているという。谷村が若々しい理由を垣間見た。【遠藤尚子】