米ロサンゼルスで25日に行われた第93回アカデミー賞授賞式の米国内の視聴率が、過去最低だったことが26日、分かった。ABCテレビで放送された授賞式の平均視聴者は985万人で、史上最低だった昨年の2360万人からさらに58%下回る結果となった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、長期間にわたって映画館が閉鎖される中、新作映画の多くが公開延期となり、動画配信サービスの小規模作品が候補作の中心となったことなどが要因とみられる。

コロナ禍でリモートでの開催となった昨年9月のテレビ界最高の栄誉とされるエミー賞や今年2月のゴールデン・グローブ賞など各授賞式の視聴率が軒並み過去最低だったことを受け、アカデミー賞は対面での授賞式にこだわった。ハリウッドのドルビー劇場からダウンタウンのユニオン駅に会場を移して各賞の候補者やプレゼンテーターを集めて開催された。

しかし、大手メディアもコロナ禍で初の対面で行われた授賞式を「退屈でつまらないものだった」と酷評。授賞式前には同授賞式のプロデューサーが、「再び人々が映画館で映画を見たくなるような授賞式にしたい」と語っていたが、USAトゥデイ紙は「コロナ禍で映画館が大きな打撃を受けている中、ノミネートされた作品の良さを伝えることがまったくできていない活力を欠いたものだった」と批判。

ハリウッド・リポーター誌もトリで発表された主演男優賞で受賞が期待された故チャドウィック・ボーズマンではなく、授賞式を欠席すると表明していたアンソニー・ホプキンスが受賞したことで受賞スピーチがないまま静かに幕を閉じたことを皮肉った。「救いだったのは、授賞式のプロデューサーが厳重に管理されている受賞結果を発表の瞬間まで知ることができないと証明されたことだ」とし、まさかの結末をユニオン駅にかけて「列車の脱線事故」と評した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)