感染症の世界的権威が新型コロナ禍での東京五輪開催に反対を表明した。

 ニュージーランドの大手メディア「スタッフ」は、感染症のスペシャリストとして有名なオタゴ大学のマイケル・ベイカー公衆衛生学教授が東京五輪の中止を勧告したと報じた。

 ベイカー教授はまず新型コロナ禍での開催による危険性を指摘。世界中から選手や関係者が集まるため「私たちはここで何が危機にひんしているのかを認識すべきだ。ニュージーランド政府が確固たる方針を取ることを本当に望む。誰かがこれだけ明白なことをはっきり言う必要がある」と感染症を専門とする立場から東京五輪の中止または再延期を切実に訴えた。

 そして開催を強行すれば「オリンピック精神への裏切り」と厳しく断じる。「高所得国はアスリートに高い安全性を保証することができるかもしれないが、低所得国のアスリートが参加する場合はどうか。特に予防接種を受ける場合、それはぜい弱な人々からワクチンを奪うことを意味する」と国の状況によって五輪への準備に大きな格差ができてしまうと指摘。

「五輪はグローバルな一体感とフェアプレー精神によって祝福されることを目的としている。低所得国はパンデミックによって荒廃している。そこにフェアプレー精神はない」と糾弾した。

 そして、もはや公平性のない東京五輪に参加しようとしている自国に向けて「ニュージーランドオリンピック委員会は道徳的な羅針盤を完全に失ったのか。このような状況で五輪開催を支持する彼らは、どうやって国民に顔向けするのか。それは完全に間違ったことだ。私には正当化すべき理由がまったく分からない。絶対にばかげている」と猛批判を展開。多くの人々の生命を危険にさらす東京五輪の暴走をなんとか食い止めようと悲痛な叫びを上げている。

 ついに感染症の世界的権威からも開催反対の声が上がった東京五輪。組織委員会や東京都は、世論と同様に専門家からの忠告も無視し続けるのだろうか。