「眠狂四郎」「古畑任三郎」などの人気ドラマシリーズで知られる俳優田村正和(たむら・まさかず)さんが4月3日に都内の病院で、心不全のため亡くなった。77歳だった。

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日米両球界で数々の偉業を遂げたイチロー氏(47=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)も、故田村正和さんの大ファンだった。

2006年(平18)には田村さんの主演ドラマ「古畑任三郎ファイナル」に犯人役として初出演。イチロー氏自身のアイデアもあり、現役メジャーリーガーのイチローが殺人をするという大胆な役に挑戦し、大好評を得た。

企画段階で犯人役の設定を考えていた脚本家の三谷幸喜氏が、イチロー氏が田村さんと同ドラマのファンであることを伝え聞き“ダメ元”でオファー。イチロー氏が快諾し、「俳優イチロー」のデビューが決まった。

俳優未経験とはいえ、イチロー氏はセリフをほぼ完璧に覚えてクランクイン。関係者によると、野球好きだった田村さんもイチロー氏の姿勢に感銘を受け、意気投合。好作品に仕上がったという。

作品について三谷氏は後日、ドラマ製作の舞台裏を明かしている。イチロー氏が犯人役だったこともあって、本人役ではなく「ハチロー」として演技することを打診。しかし、イチロー氏はこれを受け入れず、そのままの「イチロー」として出る意思を伝えたという。日本を代表する人気俳優との共演に、イチロー氏もありのままの自分で向き合った。