井岡の尿検体をJBCが“ずさんな管理” 担当者が自宅冷蔵庫で保管 結果に影響か

 会見を開き、コメントを発表する井岡一翔(撮影・伊藤笙子)
 会見を開いた井岡一翔(右)と弁護士の服部真尚氏(撮影・伊藤笙子)
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 ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32)=Ambition=が、昨年12月31日の田中恒成(25)=畑中=戦でのドーピング検査で禁止薬物が検出された件について、日本ボクシングコミッション(JBC)は19日、倫理委員会が井岡がJBCの諸規定への違反や刑罰法規に抵触する行為におよんだとは認定できないとする結論を発表した。JBCはこの倫理委の答申を受け、井岡側には処分を行わないことを発表した。

 オンライン会見を行った永田有平理事長はドーピング検査の手続きにさまざまな瑕疵があったことを認めて謝罪。井岡に対しては「誠意を持って対応するしかない」と直接謝罪することを明らかにし、名誉回復に努めるとした。倫理委員会はJBCとの間に利害関係を有しない外部有識者により構成。答申書は18日付でJBCの永田理事長に提出された。

 答申書によると、昨年12月31日の試合直前に採取された井岡の尿検体はA検体とB検体に分割された。1月5日にA検体を簡易検査したところ大麻成分が検出。それにより1月20日に第三者検査機関でB検体を検査したところ、大麻は検出されず、エフェドリン、フェネチルアミン、チラミンの禁止薬物3種が検出された。

 オンライン会見には倫理委員会のメンバーでもある貞弘賢太郎弁護士が出席し、結論に至る理由を説明。JBCのドーピング検査でのずさんな手続きも明らかにされた。

 井岡の尿検体は、試合当日の午後3時から4時頃に試合会場で採取された。検体はA検体、B検体に分割され、別個の容器に分け入れられ、会場の大田区総合体育館の医務室に試合後の午後10時頃まで常温で置かれた。その後、年末年始で病院が開いていないこともあり、JBC職員が自宅に持ち帰り、冷凍することなく冷蔵庫で保管。1月5日に検査機関に持ち込む際も、移動中は常温で輸送した。

 貞広弁護士はこれらの手続き上の不備により、検体の腐敗が進み、A検体から大麻の「偽陽性」となった可能性を指摘。B検体で検出された禁止薬物3成分も検体の腐敗が影響した可能性があるとした。腐敗による検出は過去の論文でも見られるという。

 また、B検体検査後にJBCが警察に情報提供したことで、B検体が押収され全量消費された。これにより再検査が不可能となったことも重大な瑕疵だとした。「検体採取時に検体の中に3成分が含まれていたのかということについて疑問がある。さらには手続きの面でもB検体が保存できていないという手続き上の瑕疵。この両面があるので当委員会といたしましては、今回のドーピング検査の結果を踏まえて、井岡選手に対し、各種規定違反の行為におよんだという事実の認定は困難であるという結論を下した」と説明した。

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